HOME ニュース一覧 向こう1年の経営上の最重要課題は「原材料・エネルギーの確保・価格変動」

経営ニュース

向こう1年の経営上の最重要課題は「原材料・エネルギーの確保・価格変動」

 商工中金が発表した「中小企業が考える自社の諸課題と対応に関する調査」結果(有効回答数2322社)によると、向こう1年の経営上の最重要課題としては、「原材料・エネルギーの確保・価格変動」を挙げる企業が圧倒的に多い。向こう10年の最重要課題では、「自社・他社の量的・質的な労働力の過不足」、「国内人口の減少や少子高齢化に伴う需要の変動」「事業承継を含む経営人材の確保」といった「ヒト」に関わる課題が上位に挙がった。

 このほか、「原材料・エネルギーの確保・価格変動」も引き続き上位に入った。原材料等価格の高騰や不安定な動きを一過性でない、中長期的課題と捉える中小企業が少なくないことがうかがえる。業種別に向こう1年の最重要課題をみると、全体として、「原材料・エネルギー」は製造業に、「労働力の過不足」は非製造業に比重が偏っている。向こう10年では、向こう1年と比べ、ほぼ全業種で「労働力の過不足」の割合は増加している。

 対応状況は、向こう1年の課題については回答の7割強が対応に向けて動いている(策定済み+策定中)一方で、向こう10年の課題については4割強が現状対応策を準備・検討していない(未着手+対策が不可能)。向こう1年の最重要課題の種類別・対応状況は、IT・デジタル化や設備の更新・整備は中小企業においても相応に取組みが進んでいる。人手不足の深刻化により、省人化・生産性向上を目的とした取組みが進んでいると思われる。

 「法規制・税会計制度」は「策定済み」が低い一方で「策定中」の割合が特に高い。自由記載によると、インボイス制度や時間外労働の上限規制への対策が主だったものであり、施行が近づいていることで取り組みを加速した企業が多いと考えられる。向こう10年の最重要課題の種類別・対応状況では、中長期的な課題のため、現時点で既に策定済みの先は向こう1年と比べ少ない。

 最重要課題の情報源・相談先として期待する組織・人物については、目先は原材料・エネルギー価格の高騰により、取引先へ価格交渉するため「サプライチェーン上の取引先」を相談先として期待する回答の割合が28.6%(向こう10年では19.0%)と高い。また、自社の最重要課題にもかかわらず、社内外で情報源や相談先として期待できる組織・人物がない企業も、向こう1年・向こう10年ともに15%弱存在する。

「中小企業が考える自社の諸課題と対応に関する調査」について

提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)

この記事のカテゴリ

関連リンク

景気ウォッチャー調査のキーワードからみた景況感

税務・会計に関する情報を毎週無料でお届けしています!

メルマガ登録はこちら


経営ニュース
/news/management/2023/img/img_keiei_02_s.jpg
 商工中金が発表した「中小企業が考える自社の諸課題と対応に関する調査」結果(有効回答数2322社)によると、向こう1年の経営上の最重要課題としては、「原材料・エネルギーの確保・価格変動」を挙げる企業が圧倒的に多い。向こう10年の最重要課題では、「自社・他社の量的・質的な労働力の過不足」、「国内人口の減少や少子高齢化に伴う需要の変動」「事業承継を含む経営人材の確保」といった「ヒト」に関わる課題が上位に挙がった。 このほか、「原材料・エネルギーの確保・価格変動」も引き続き上位に入った。原材料等価格の高騰や不安定な動きを一過性でない、中長期的課題と捉える中小企業が少なくないことがうかがえる。業種別に向こう1年の最重要課題をみると、全体として、「原材料・エネルギー」は製造業に、「労働力の過不足」は非製造業に比重が偏っている。向こう10年では、向こう1年と比べ、ほぼ全業種で「労働力の過不足」の割合は増加している。 対応状況は、向こう1年の課題については回答の7割強が対応に向けて動いている(策定済み+策定中)一方で、向こう10年の課題については4割強が現状対応策を準備・検討していない(未着手+対策が不可能)。向こう1年の最重要課題の種類別・対応状況は、IT・デジタル化や設備の更新・整備は中小企業においても相応に取組みが進んでいる。人手不足の深刻化により、省人化・生産性向上を目的とした取組みが進んでいると思われる。 「法規制・税会計制度」は「策定済み」が低い一方で「策定中」の割合が特に高い。自由記載によると、インボイス制度や時間外労働の上限規制への対策が主だったものであり、施行が近づいていることで取り組みを加速した企業が多いと考えられる。向こう10年の最重要課題の種類別・対応状況では、中長期的な課題のため、現時点で既に策定済みの先は向こう1年と比べ少ない。 最重要課題の情報源・相談先として期待する組織・人物については、目先は原材料・エネルギー価格の高騰により、取引先へ価格交渉するため「サプライチェーン上の取引先」を相談先として期待する回答の割合が28.6%(向こう10年では19.0%)と高い。また、自社の最重要課題にもかかわらず、社内外で情報源や相談先として期待できる組織・人物がない企業も、向こう1年・向こう10年ともに15%弱存在する。
2023.05.09 16:08:02