目次 II-3


3 確定給付型の退職給付制度から確定拠出年金制度への移行


Question
 確定給付型の退職給付制度から確定拠出年金制度への移行について説明してください。



Answer

(1) 移行形態

 既存の退職給付制度から確定拠出年金制度へ移行する形態により、会計面又は税務への影響が異なります。移行形態のポイントは次のとおりです。確定拠出年金制度は、原則として、60歳になるまで老齢給付金が受けられないことに留意することが必要です。(II−7の(4)参照)

(1) 既存制度と別枠での導入か、既存制度から移行しての導入か

 既存制度と別枠で導入する場合は、新規に確定拠出年金制度を導入するケースと同じです。既存制度から移行する場合は、移換可能限度額の問題があります。

(2) 過去期間分のみの移行か、将来期間分のみの移行か

 退職給付の過去期間分すなわち既得権部分を移行する場合は、従業員の既得権の保証に配慮することが必要です。将来期間分のみを移行する場合は、選択性を設けるなどにより弾力的な設計が可能になり、比較的移行は容易です。また、過去期間分と将来期間分のすべてを導入するケースもあります。

(3) 一部の移行か、全部の移行か

 既存制度からの移行部分の割合です。既存制度からの年金資産の移換金額に限度がありますので、移行を一部に設計する場合があります。


(2) 退職給付制度からの移行

 確定給付型の退職給付制度から確定拠出年金法に定める企業型年金(以下、「企業型年金」といいます。)に移行する場合、所定の限度内で年金資産あるいは拠出金を、企業型年金の加入者の個人別管理口座に移換あるいは拠出することができます。なお、移換は企業型年金を設立した場合に限られ、確定拠出年金法に定める個人型年金への移換はできません。

 資産の移換限度額は、移換元制度において規定される移換可能額と移換先である企業型年金で規定される移換限度額とのいずれか低い方の金額になります。なお、平成16年度の年金制度改正により、企業型年金で規定される受入限度額は撤廃されます。施行日は、平成16年10月1日です。(国民年金法等の一部を改正する法律38、確拠年金法54(1))

 確定拠出年金法では、資産の移換が可能な制度として、移換元の制度を厚生年金基金、税制適格退職年金、確定給付企業年金法の確定給付企業年金、退職手当制度(退職一時金制度)としています(確拠年金法54(1)、確拠年金法令4、同附2)。

 

目次 次ページ