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II.益金と損金


1.所得計算の規定

 所得計算に関して、法人税法第22条では次のように規定しています。

 『 1. 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2. 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3. 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの』

 本条は、第1項で「益金−損金=所得」の基本算式を示し、さらに第2項と第3項でそれぞれ「益金」と「損金」の概念を定義する構成となっています。

 まず、益金を“別段の定めがあるものを除き、資産の販売……に係る収益”と規定しています。

 ここで「別段の定め」とは、たとえば受取配当金の益金不算入(法23)、資産の評価益の益金不算入(法25)、還付金等の益金不算入(法26)などの規定のことです。つまり、さきに述べた申告調整事項を除いて、損益計算上の収益を益金とするのが原則的な扱いです。また、第3項では損金の内容を、損益計算書の項目に従い売上原価・販売費・一般管理費……と規定しており、減価償却限度超過額の損金不算入(法31)や繰越欠損金の損金算入(法57)など「別段の定め」を除いて、損益計算上の費用項目は原則として損金となります。

 

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