インボイス制度対応のためのシステム修正費用の取扱い

黒田「いよいよ令和5年10月1日からインボイス制度が始まります。リエちゃん、インボイス制度に対応するための準備は進んでいますか?」
リエ「はい、先日請求書を発行する経理処理システムの修正が終わりました。現行の請求書に登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を追加設定しました。確かシステムの修正に掛かった費用は、その目的や修正内容等によって経理処理が異なるんですよね。今回のシステムの修正に掛かった費用は修繕費として損金計上できますか? それとも資本的支出になりますか?」
黒田「国税庁のホームページに『消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用の取扱いについて』(質疑応答形式)が公表されています。それによりますと、『各システムのプログラムの修正が、現行の請求書等のフォーマットや、現行の税額計算の方法につき、インボイス制度の実施に伴い、システムに従来備わっていた機能の効用を維持するために必要な修正を行うものであることが作業指図書等から明確である場合には、新たな機能の追加、機能の向上等に該当せず、これらの修正に要する費用は修繕費として取り扱われることとなります。』とありますので、今回の御社のシステム改修に掛かった費用は修繕費として損金算入が認められます。」
リエ「国税庁のホームページにインボイス対応のためのシステム修正費用の取扱いが公表されているんですね。修繕費と資本的支出の判断は難しいので取扱いが公表されていると参考になりますね。」
黒田「ちなみに、機能の維持ではなく、機能の追加や機能の向上に該当すると、その費用は資本的支出となります。国税庁のホームページではその例示として、①受発注システム上で受領し、又は取り込んだ請求書に記載された取引先の登録番号と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトに公表されている情報を自動で照合し、確認する機能を新たに搭載するもの、②これまでシステムで作成した請求書等を紙媒体で出力し交付していたものを、電子交付まで自動で行えるよう仕様変更するもの、この①②の費用は現行の維持費等に該当しないので、その修正に掛かる費用は修繕費に該当しませんと公表しています。ただし、資本的支出であっても、修正費用が20万円未満の場合や、その修正費用のうちに資本的支出であるか修繕費であるかが明らかでない金額がある場合、その金額が60万円未満のとき、またはその金額が、修正に掛かるソフトウエアの前期末における取得価額のおおむね10%相当額以下である場合は修繕費とすることができます。」
リエ「やっぱり修繕費と資本的支出の判断は難しいですね。もし、システムでまた修正があった時はまた相談します。」