消費税等に係る経理処理はどうする
税務調査事例―期末における未払計上―
A社は、消費税等の経理処理につき税込経理方式を採用しています。
令和4年3月期に係る消費税等の額を計算したところ、消費税等の額は50万円になり令和4年5 月末に消費税等の申告を行っています。
A社は、この消費税等につき令和4年3月期の決算において未払計上し損金の額に算入しています。
調査官の指摘
消費税の損金算入時期は、消費税等の額が確定申告書の提出により確定した日、すなわち令和5年3月期となります。
会社の言い分
令和4年3月期に係る消費税等ですので、令和4年3月期の損金としてもよいのではないでしょうか。
税務判断のポイント
会社の言い分どおり期末における未払計上も認められます。
消費税等に係る経理処理については、税抜経理方式(消費税等の額とその消費税等に係る取引の対価の額とを、仮受消費税や仮払消費税勘定等を用い区分して経理する方式)と税込経理方式(消費税等の額とその消費税等に係る取引の対価の額とを区分しないで経理する方式)とが認められています。
税込経理方式を採用している場合、納付すべき消費税等の額は損金の額に算入されますが、その損金算入時期は、消費税等の申告書を提出した日の属する事業年度とされています。
ただし、法人が、申告期限未到来の消費税等の申告書に記載すべき消費税等の額を損金経理により未払計上したときは、損金経理をした事業年度の損金の額に算入することもできます。
したがって本事例の場合、A社は、消費税等の額50万円を、実際に申告書を提出した令和5年3月期に損金としても、令和4年3月期に損金として未払計上してもどちらでもよいということになります。
税理士のアドバイス
税込経理方式において、納付する消費税等の額の損金算入は、消費税等の申告書提出時でも、提出前の期末に未払計上してもよいことにご留意ください。
なお、期末に未払計上する場合、帳簿での損金経理が必要とされ、申告減算処理は認められませんのでご注意ください。
【参考法令】 平成元年3月1日直法2-1「7」、「8」(消費税法等の施行に伴う法人税の取扱いについて)
このコンテンツの内容は、令和4年11月1日現在の法令通達によっています。