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テレワーク中の交通費と社会保険料に注意!

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リエ「私の友人の勤務先が今年からテレワークを導入したそうなんです。それを機に友人は家賃が安い郊外に引っ越してしまったので、友人と会う機会が減ってしまいました。守田先生の顧問担当先でテレワークを導入している会社はありますか?」

守田「2020年の新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークの導入が一気に進みましたね。私の担当先でも数社テレワークを導入していますよ。」

リエ「そうなんですね。私の友人は月に2~3回会社に出社しているみたいですが、テレワークになってから、それまで定期代として支給されていた通勤手当がなくなって、交通費は出社日数に応じて実費精算になったそうです。友人は郊外に引っ越したので交通費がかなり高くなったそうですが、テレワークの場合、一時的に出社する際の交通費は社会保険料の算定基礎となる『報酬』に含まれますか?」

守田「社会保険料の算定基礎となる『報酬』は、法律上(健康保険法、厚生年金保険法)、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものとされています。また、会社が負担すべきものを労働者が立て替え、その実費弁償を受ける場合は労働の対償とは認められないため、『報酬』に該当しないこととされています。テレワーク対象者が一時的に出社する際に要する交通費を会社が負担する場合は、当該労働日における労働契約上の労務の提供地が『自宅』か『事業所』かによって、『報酬』に含めるかどうか取扱いが異なります。労務提供地が『自宅』の場合は、労働契約上、当該労働日が自宅での勤務とされており、業務命令により事業所に一時的に出社し、その移動にかかる交通費を会社が負担するのであれば、その交通費は実費弁償と認められるので、『報酬』には含まれません。労務提供地が『事業所』の場合は、原則テレワークだとしても、労働契約上、当該労働日が事業所での勤務となることから、出社する際の交通費は通勤手当として『報酬』に含まれます。就業規則やテレワーク規定、雇用契約書、労働条件通知書等で労務の提供地や通勤手当について確認が必要です。」

リエ「労働契約上の労務の提供地が『自宅』か『事業所』かによって取扱いが全然違うんですね。給与計算をするときは、『報酬』に該当するか、『実費弁償』に該当するか、確認が必要ですね。」

守田「ちなみに、テレワークの導入に伴い、支給されていた通勤手当が支払われなくなる、支給方法が月額から日額単位に変更される等の固定的賃金に関する変動があった場合には、随時改定の対象となりますのでご注意ください。」

リエ「テレワーク導入時は標準報酬月額の等級が変わるかどうかの確認が必要ですね。参考になりました。」

監修

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税理士 坂部達夫

税理士法人坂部綜合会計/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「私の友人の勤務先が今年からテレワークを導入したそうなんです。それを機に友人は家賃が安い郊外に引っ越してしまったので、友人と会う機会が減ってしまいました。守田先生の顧問担当先でテレワークを導入している会社はありますか?」守田「2020年の新型コロナウイルス感染症の流行により、テレワークの導入が一気に進みましたね。私の担当先でも数社テレワークを導入していますよ。」リエ「そうなんですね。私の友人は月に2~3回会社に出社しているみたいですが、テレワークになってから、それまで定期代として支給されていた通勤手当がなくなって、交通費は出社日数に応じて実費精算になったそうです。友人は郊外に引っ越したので交通費がかなり高くなったそうですが、テレワークの場合、一時的に出社する際の交通費は社会保険料の算定基礎となる『報酬』に含まれますか?」守田「社会保険料の算定基礎となる『報酬』は、法律上(健康保険法、厚生年金保険法)、賃金、給料、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものとされています。また、会社が負担すべきものを労働者が立て替え、その実費弁償を受ける場合は労働の対償とは認められないため、『報酬』に該当しないこととされています。テレワーク対象者が一時的に出社する際に要する交通費を会社が負担する場合は、当該労働日における労働契約上の労務の提供地が『自宅』か『事業所』かによって、『報酬』に含めるかどうか取扱いが異なります。労務提供地が『自宅』の場合は、労働契約上、当該労働日が自宅での勤務とされており、業務命令により事業所に一時的に出社し、その移動にかかる交通費を会社が負担するのであれば、その交通費は実費弁償と認められるので、『報酬』には含まれません。労務提供地が『事業所』の場合は、原則テレワークだとしても、労働契約上、当該労働日が事業所での勤務となることから、出社する際の交通費は通勤手当として『報酬』に含まれます。就業規則やテレワーク規定、雇用契約書、労働条件通知書等で労務の提供地や通勤手当について確認が必要です。」リエ「労働契約上の労務の提供地が『自宅』か『事業所』かによって取扱いが全然違うんですね。給与計算をするときは、『報酬』に該当するか、『実費弁償』に該当するか、確認が必要ですね。」守田「ちなみに、テレワークの導入に伴い、支給されていた通勤手当が支払われなくなる、支給方法が月額から日額単位に変更される等の固定的賃金に関する変動があった場合には、随時改定の対象となりますのでご注意ください。」リエ「テレワーク導入時は標準報酬月額の等級が変わるかどうかの確認が必要ですね。参考になりました。」
2022.10.24 16:08:17