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夫婦間で居住用不動産を贈与した場合の特例

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リエ「黒田さん、こんにちは。夫婦の間で不動産を贈与した場合には何やら贈与税がかからないケースがあると聞いたのですが本当でしょうか?」

黒田「夫婦の間で居住用不動産を贈与した場合の特例のことですかね? 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合には、110万円の基礎控除に加えて、最大で2000万円までの控除をうけることができます。これを配偶者控除といいます。」

リエ「2000万円の控除を上乗せできるのですね。配偶者控除を受けるためには、具体的にはどのような要件を満たせば良いのでしょうか?」

黒田「はい。配偶者控除を受けるためには、3つの要件を満たす必要がありますよ。(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと、(2)配偶者から贈与された財産が、居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること、(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることです。」

リエ「配偶者控除を受けるにあたって何か注意することはありますか?」

黒田「配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか利用することができません。また、配偶者控除を受けるためには戸籍簿謄本などの一定の書類※を添付して贈与税の申告を行うことが必須になります。」

リエ「黒田さん、ありがとうございました。」

※ 提出書類等
次の書類を贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。
(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍簿謄本または抄本
(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍簿謄本の附票の写し
(3)居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの(ただし、贈与税の申告書に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます)。
(4)金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)。

監修

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税理士 坂部達夫

税理士法人坂部綜合会計/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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リエ「黒田さん、こんにちは。夫婦の間で不動産を贈与した場合には何やら贈与税がかからないケースがあると聞いたのですが本当でしょうか?」黒田「夫婦の間で居住用不動産を贈与した場合の特例のことですかね? 婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合には、110万円の基礎控除に加えて、最大で2000万円までの控除をうけることができます。これを配偶者控除といいます。」リエ「2000万円の控除を上乗せできるのですね。配偶者控除を受けるためには、具体的にはどのような要件を満たせば良いのでしょうか?」黒田「はい。配偶者控除を受けるためには、3つの要件を満たす必要がありますよ。(1)夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと、(2)配偶者から贈与された財産が、居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること、(3)贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであることです。」リエ「配偶者控除を受けるにあたって何か注意することはありますか?」黒田「配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか利用することができません。また、配偶者控除を受けるためには戸籍簿謄本などの一定の書類※を添付して贈与税の申告を行うことが必須になります。」リエ「黒田さん、ありがとうございました。」※ 提出書類等次の書類を贈与税の申告書に添付して提出する必要があります。(1)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍簿謄本または抄本(2)財産の贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍簿謄本の附票の写し(3)居住用不動産の登記事項証明書その他の書類で贈与を受けた人がその居住用不動産を取得したことを証するもの(ただし、贈与税の申告書に不動産番号を記載することなどにより、その添付を省略することができます)。(4)金銭ではなく居住用不動産の贈与を受けた場合は、その居住用不動産を評価するための書類(固定資産評価証明書など)。
2022.10.13 15:38:28