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入金消込の課題と自動化のメリット

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入金消込は、掛取引で発生した売掛金などの債権の残高を、入金履歴と突き合わせ消去していく作業のことを指します。簡単に言うと、請求書を発行後、取引先からの入金をチェックし、回収漏れがないことを確認する作業です。

この消込作業は、企業が安定したキャッシュフローを得るためにも正確に処理することが求められ、地味で地道な作業ですが重要な業務です。そこで、この記事では入金消込の概要と課題、そして自動化のメリットについてお伝えします。

入金消込とは

BtoB取引では、あらかじめ取り決めた期日に代金を振り込む「掛取引」が一般的です。そのため、取引先から注文が入れば、売上が計上されますが、入金が完了するまでは「売掛金」として扱います。

入金消込は、この「売掛金」などの債権を、実際に支払われた入金額を確認しながら取り消すことを意味します。売掛金はいわゆるツケのため、入金消込は商品・サービスの対価を回収したという確認作業にも当たります。未消込の売掛金がないか、請求金額と入金金額に差異がないか、遅延が発生していないか等を把握することが求められます。

入金消込の業務フロー

入金消込は、通帳やネットバンクからダウンロードした入金明細と、帳簿上の売掛金や請求先が記載されたエクセルファイルを照らし合わせることで、一致するもの同士を消していく作業です。

なお帳簿上では、例えば取引先から1万円の商品の注文を受けて納品した時、借方が売掛金1万円、貸方が売上1万円になります。その後に取引先からの入金を確認次第、借方は当座預金が1万円、貸方が売掛金1万円になります。この時点で売掛金が帳簿上で消し込まれて0円になり、当座預金が1万円になります。

入金消込は、請求数に比例して消込を行うことになるため、取引の規模が大きい会社ほど苦労する業務です。間違いが許されず、またイレギュラーな対応も多くあるため、担当者にとって厄介な業務と言えます。

入金消込を煩雑にするイレギュラーケース

入金明細と帳簿上の売掛金が綺麗に一致すればまだ楽ですが、現実はうまくはいきません。ここでは、入金消込を煩雑にするイレギュラーケースをご紹介します。

<請求名義と振込名義が異なるケース>

「請求名義と実際の振込名義が異なる」場合、特定に時間がかかります。他にも「類似した社名や同姓同名の請求先がある」場合は、振込名義がカタカナで表記されることもあり苦労します。

<複数の請求書を合算して振込されるケース>

同一の取引先企業に、複数以上のサービスを提供している場合や、部署毎にサービスを提供している場合など、2枚以上の請求書を送付することがあります。それに対して、取引先が合算で振り込みを行う場合があり、こちらも確認に時間がかかります。

<請求金額と入金金額が異なるケース 差額が発生する>

入金はされているものの、請求額と入金額に差額の発生しているケースも注意が必要です。このケースでは消込先を明細上で1つずつ調べることになり、さらには不足金額を催促するのか、翌月に繰越請求を行うのかなどの対応も必要になります。

なお、請求金額と入金金額が異なる主な理由は、以下になります。
・振込手数料を引いている
・振込金額のミス
・買掛金との相殺
・返品対応などの情報共有漏れによる誤請求 など

<繰越請求の管理が必要なケース>

未入金が発生したケースでは、消込をせず次月に合算して繰越請求を行います。繰越請求を行う場合、請求書発行時に今月の請求分と繰越請求分(繰越残高)の内訳を一目で分かるよう記載したり、繰越分が入金されるまでは個別に管理が必要だったりと注意が必要です。

入金消込で多くの企業が抱える課題

入金消込の大変さが分かったところで、多くの企業が抱える消込業務の課題を3つ解説します。

<手作業によりミスが多く発生している>

消込作業そのものは売掛金と代金回収の状況を帳簿に反映する単純作業です。しかし入金額が一致しているか、振込名義は正しいかなど確認するポイントが非常に多く、エクセルへの入力ミスのおそれもあるため、消込を手作業で行うことは容易ではありません。手作業による消込は常にミスと隣り合わせであり、ミスがあればさらに対応が増えるといった悪循環に陥ってしまいます。

<金銭を扱うという心理的な負担が大きい>

入金消込は、金銭の管理をしているという点でも重要度が高い業務です。会社は商品やサービスの販売によって得た売上で成り立っているため、取引先からの入金が期日内になければ経営状況を悪くしてしまいます。
売掛金は時間が経過するほど回収が難しくなるため、日ごろから正確な入金管理を行うこと求められ、会社の金銭を扱っているという意味で、負担が大きい業務ということができます。

<属人的な業務になりやすい>

入金消込は作業量が多く、細かい数字を扱うので、経験豊富な人間が担当になる傾向にあります。請求書と入金額の差額や振込名の相違などが発生しても、経験値によって原因を特定と対処を迅速に行うことができますが、これは業務の属人化を意味しています。
その結果、特定の社員に大きな負担が掛かってしまい、担当者の異動や退職などにより入金消込が滞るといったリスクをはらんでいます。

エクセルで入金消込を効率化する

請求管理で広く利用されているのが、導入のハードルが低いエクセルです。ここでは簡単に、エクセルの活用について説明します。

①入金管理表を使用する
インターネットから無料でダウンロードできる入金管理表を活用します。もしくは、自身で、取引先企業名・入金額・期限といった必要項目を盛り込んだフォーマットを作成します。

②エクセルへの転記作業
通帳やネットバンクなどの入金明細を用意し、入金日・入金名義・入金金額などの情報をエクセル(入金管理表)に転記します。

③エクセル関数で作業する
エクセルの関数(SUMIF、COUNTIF、VLOOKUPなど)を活用することで効率化を図ります。また振込入金の明細管理表の一覧から未入金のみを抽出するなどフィルタリングを行うことも可能です。

④エクセルのマクロ機能を活用する
マクロとは、エクセルで行った一連の作業を記録し、その作業を自動的に実行させる機能のことです。ルーティン作業との相性が良く、時間を大幅に削減できる事に加え、入金と取引先の一括突き合わせや、入金名義の一括変更など様々な工程を自動化することが可能になります。

入金消込の課題を解決するのは「自動化」

エクセルの活用で一定の効率化を図ることはできますが、それでも負担が大きいのが現状です。また各処理に必要な元データは随時更新する必要があるため、部署内での情報共有にも課題が残ります。

そこで入金消込の課題を解決する1つの方法として、システム導入による「自動化」があります。

<入金消込自動化システムとは>

入金消込自動化システムは、売掛金データと入金データの照合を自動で処理し、精度の高い消込を実現してくれるシステムです。消込後の仕訳データを各種会計ソフトに連携可能なものや、消込作業だけでなく請求書発行から代金回収まで対応したものまで、さまざまなシステムがリリースされています。

<自動化で入金消込の課題を一括で解決>

自動化システムは、入金情報を金融機関やカード会社から直接取得して自動で照合と消込の作業を行います。IT技術によって、見間違いや思い込みによる間違いを防ぎ、人が処理するよりも早く正確に行うことが可能です。

差額の発生などによって消込が失敗した場合は、消込漏れとして抽出されたデータを確認することによって、発生原因を迅速に突き止めることが可能です。他にも名義相違やイレギュラー案件については、繰り返し利用することで学習する機能が備わっているサービスもあり、使用していくことでさらなる効率化に貢献します。

業務が自動化されることで、業務コストや属人性の問題、人的ミスによる不安が解消されることになり、入金消込に費やしていた多くの時間と労力を、より生産性の高い業務に活用できるようになります。

<関連記事>請求書の電子化で請求金額のズレも解消。ミスを防止して請求業務を約80%削減!

まとめ

入金消込の遅延は、月次決算の締めが遅延してしまう要因ともなり、消込作業のミスは、売上金を未回収のまま見過ごすという過失の原因となりえます。そのため、経理担当者は毎月煩雑な作業に追われてストレスを感じながら多くの手間と時間を捧げ業務にあたっているのが現状です。

入金消込を目視や手作業で処理していくことは現実的ではありません。生産性の向上やキャッシュフローの健全化を図るうえでも、入金消込を自動化できるシステムの導入をおすすめします。

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執筆者情報

株式会社ROBOT PAYMENT

ROBOT PAYMENTでは「お金をつなぐクラウドで世の中を笑顔に」というビジョンをもと、請求管理業務を効率化・自動化するクラウドサービス「請求管理ロボ」と、サブスクリプションサービスに特化した決済代行サービスを提供しています。
2021年東証マザーズ上場。電子インボイス推進協議会(EIPA) 幹事法人。

株式会社ROBOT PAYMENT
https://www.robotpayment.co.jp/

請求管理ロボ
https://www.robotpayment.co.jp/service/mikata/

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2022.04.08 15:28:23