退職にともなう中小企業退職金共済の手続き
リエ「退職予定の従業員がいるので、退職手続きについて伺いたいのですが。」
黒田「退職予定日はいつになりますか。」
リエ「来月末になります。最終の給与計算完了後に源泉徴収票の作成、社会保険及び雇用保険の脱退手続き、住民税の異動届の提出を行えばよろしかったでしょうか。」
黒田「中小企業退職金共済の加入者であれば中小企業退職金共済の解約手続きも必要ですね。」
リエ「加入している従業員です。毎月少しずつ積み立てているあれですよね。解約するために何か用意しなければならない書類はありますか。」
黒田「退職金共済以外に会社から支給する予定の退職金はありますか。」
リエ「ありません。」
黒田「それであれば、必要になる書類は保管されている退職金共済手帳のみになります。共済手帳の2枚目にある『被共済者退職届』を切り取り、退職年月日等の必要事項を記入後に共済機構に提出します。残りの退職金共済手帳を全て被共済者である退職者本人に渡してください。本人が受け取った退職金共済手帳で受給手続きを行うことになります。」
リエ「会社が最後まで手続きを行うものだと思っていました。退職金共済が支払われた際の経理処理は必要でしょうか。」
黒田「退職金共済以外の退職金支給がないのであれば、特に経理処理は必要ありません。先ほどの手続きで完了となります。」
リエ「退職所得控除の対象となることを考えると従業員にとってはありがたい制度ですね。もし、会社からも退職金が支給される場合にはどうなるのでしょうか。普通に考えて退職所得の受給に関する申告書を受け取る必要がありますか。」
黒田「はい。多くの場合、会社側の退職金支給が先になるかと考えられますので、その前提でお話します。退職所得の受給に関する申告書を受け取り、退職所得の源泉徴収票を発行してください。退職者本人は、退職金共済手帳に加え、退職所得の源泉徴収票と共済機構提出用の退職所得の受給に関する申告書を提出する必要があります。共済機構のHPに詳しく手続き方法や退職所得の受給に関する申告書の書き方記載例が載っていますので、分からなくなった場合はご確認をお願いします。」
リエ「ありがとうございました。とりあえずは煩雑な手続きは必要なさそうでホッとしました。」