家賃等を引落している場合の適格請求書の保存
リエ「黒田さんこんにちは。インボイス制度について質問してもよろしいでしょうか。」
黒田「リエちゃんこんにちは。現時点でお答えできる範囲になりますが、どんな質問でしょうか。」
リエ「事務所の家賃なのですが、事業用なので仕入税額控除を受けています。契約書で毎月定額を決まった日に支払うとなっているので、口座残高だけ確認をして自動引落としになっています。インボイス制度が始まったら、毎月適格請求書を発行してもらうことになるのでしょうか。」
黒田「なるほど。現在は毎回の請求書や領収書の交付は受けていないものですね。」
リエ「はい。家賃以外にも、新聞や有線放送などもあてはまるかと思います。今までのように、通帳に記録が残るだけではダメでしょうか。」
黒田「原則としては、取引の都度、適格請求書の保存が必要になります。ただし、適格請求書は
・一定期間の取引をまとめて交付することができる
・必要な記載事項を複数の書類で満たしてもよい
ということになっています。」
リエ「どういう意味でしょうか。」
黒田「今回の例に当てはめると、契約書上に日付以外の必要な事項を記載し、この契約書と取引事実及び取引年月日を記載した通帳を合わせて保管すれば、適格請求書の要件を満たせる、ということです。振込みの場合でも、銀行が発行した振込金受取通知書の保存で要件を満たせます。」
リエ:では契約書を更新する時に登録番号を記載してもらっていれば、あとは今まで通りで大丈夫ですね。
黒田「概ねそうなのですが、一点注意があります。取引の途中で相手方(家賃であれば貸主)が適格請求書発行事業者でなくなる場合、相手方から連絡が入らないとその事実を把握することは困難でしょう。」
リエ「確かにそうですね。わざわざ適格請求書発行事業者じゃなくなったよ、という報告はしてくれないと思いますし……。」
黒田「相手からの通知がなかった場合でも、適格請求書発行事業者以外の者に支払った場合は仕入税額控除を行えませんので、定期的に国税庁のHPにある『適格請求書発行事業者公表サイト』を確認する必要がありますね。」
リエ「毎回請求書や領収書を交付してもらうことと比べれば、確認くらいはしましょう。決算の時に確認する、というルーティンにしようと思います。」