知って得するセキュリティのはなし その140
練馬区の中学校、誤って生徒にSNSのパスワード提出を要求…区教委が謝罪
1.このニュースをざっくり言うと
- 12月3日(日本時間)、東京都練馬区教育委員会より、同区の中学校において生徒のSNSのパスワードを提出するよう要求する事態が発生していたことが発表されました。
- 11月30日、家庭でのSNSルール等と一緒にパスワードの記入・提出が求められたとする、Twitterでの保護者からの報告が発端とされています。
- その後の各報道において、これが同区による安全なSNS利用啓発のための「SNS練馬区ルール」のリーフレットを用いたものであった一方、パスワードを記入させての提出は当該中学校での手違いによるものだったことが明らかになり、同教委は個人情報の取り扱いが不適切だったとして謝罪しています。
2.執筆者からの所感等
- 「SNS練馬区ルール」の取り組みは2020年6月に開始、区内の小中学校にリーフレットが配布され、スマホ・SNSの一日の利用時間等を家庭内で話し合って記入することが想定されていましたが、一方で「SNSのパスワードは___です」という記入欄があることについては、学校がパスワードを知り得ることへの懸念が指摘されていました。
- これを受け、同年8月に区教委から各学校へ、リーフレットの提出を依頼する際には当該項目を「未記載」か「消した状態」で提出してもらうよう通知が出ていましたが、今回当該中学校においてはこの説明を行うことを失念していたとされています。
- 学校・会社含め、組織で管理していない外部サービスのアカウント情報を要求(あるいは提出)することはプライバシーの侵害や不正アクセス禁止法への抵触に繋がり得るものであり、今回について言えば、通知をもとに学校から生徒に周知してもらうだけに留まらず、リーフレット(PDFはもちろん印刷済のものも含め)について修正を行う等の措置を可能な限りとるべきであったと考えます。