ワクチンの職域接種の取扱いは?
リエ「黒田さんこんにちは。今回は監査日程の変更をお願いして申し訳ありませんでした。」
黒田「こんにちは。いえ、それより体調不良とききましたが、大丈夫ですか。」
リエ「実はワクチン接種の副反応で発熱してしまいまして、でももう大丈夫ですよ。」
黒田「そうだったんですか。では接種ができてむしろ安心という感じでしょうか。」
リエ「はい。地元の自治体では予約が取れなくて困っていたんですが、家族の会社の職域接種で打たせてもらいました。」
黒田「自社の従業員だけでなく、家族や関連会社の従業員、地域住民まで対象にする会社もあるようですね。」
リエ「はい、思っていたよりも早かったのでありがたいです。ところで、職域接種にあたっては市区町村から委託料を受け取っていると聞いたのですが、人件費や設備費など、費用負担のほうが大きいそうですね。自社の社員やその家族に接種させる分には福利厚生の一環だと思うのですが、関連会社の従業員等への接種の場合、接待交際費という扱いなのでしょうか。」
黒田「ワクチンの職域接種に係る費用負担の取扱いについては、国税庁でFAQが追加されています。それによると、関連会社の従業員等への接種であっても、自社の業務遂行に必要な費用負担と捉えることになります。関連会社から自社に感染拡大することを防止するため、という理由ですね。」
リエ「では地域住民への接種はどうでしょう。社会貢献ですし、寄附金扱いでしょうか。」
黒田「近隣住民に接種する場合でも、自社や関連会社の従業員への接種と同じ扱いとなりますよ。」
リエ「なるほど。そういえば、去年のマスクが品薄だったころ、取引先から『まとめ買いできたからお裾分けです』とマスクをたくさん譲っていただいたんです。寄附していただいたという感覚だったのですが、どのように処理されていたのでしょうか。」
黒田「譲っていただいたマスクを転売しないということが前提ですが、寄附金以外の費用として処理することができます。取引先がマスク不足で事業遂行に支障が生じると、自社の業務にも差しさわりがあるという前提でその取引先等にマスク等を無償提供した場合は、寄附金以外の費用に該当します。」
リエ「それは安心しました。損得が全てではないですが、やはり目先に損があると助け合いにも尻込みしてしまいますものね。」