RPAの基本中の基本
▼RPAとは
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略語で、「ロボットによる業務自動化」を意味します。「私たち人間が、普段パソコンやサーバー上で行っている作業を、人に代わって自動で作業してくれるソフトウェア・ロボットのこと」と考えてみてください。例えば、データの入出力や、各種ソフト間での“コピー&ペースト”による転記など、反復性の高い定型作業を、あらかじめ指示しておくことで、自動でスピーディーに処理をしてくれます。
▼RPAとExcelマクロとの違い
一方で、「パソコン操作の自動化」と言うと、Excelマクロを思い浮かべる方もいらっしゃるのではないでしょうか。両者の違いは、大きく2点あります。
1点目は、Excelマクロが、主にOfficeソフトで行われる処理を自動化するためのものであるのに対し、RPAはパソコン操作全般を自動化の対象とできる点です。
そして2点目は、プログラミングの知識が必要か否か、という点になります。
Excelマクロでも単純な作業であればプログラミングの知識は不要ですが、より複雑な業務を処理する場合、VBAというプログラミング言語を使用する必要があり、Excelマクロの本領はこちらにあります。つまり、VBA特有の命令文や構文などプログラミングへの理解を要するのです。
一方、RPAは、ソフトにもよりますが、一般的にプログラミングの知識を必要としません。感覚的に使える操作パネルが備わっている等、プログラミングの知識がない人でも操作ができるのが特徴です。弊社RPA「EzRobot」も、日頃事務作業でパソコンを使う方であればどなたでも使いこなせるような操作画面になっており、導入された会計事務所様や事業会社様でも一般の事務スタッフの方が使いこなしておられます。
▼RPAでできること
では、RPAでは、具体的にどんな自動化をすることができるのでしょうか。会計・経理業務で言えば、主に以下のような内容が得意分野となります。
●単純な定型業務(請求書や経費の処理、発注・納品処理、定型データの入出力)
●データの収集・分析
●各種ソフトの操作
例えば、請求書の処理で言うと、Excelで作成した請求書発行一覧について、請求書PDF作成、印刷、必要であればメール添付での送信をRPAによって自動化が可能です。また、データの収集・分析という点で言えば、会計ソフトから出力した月次推移データから予め決めておいた基準を超過するデータを抽出する作業などもRPAに任せることができます。更に、各種ソフトの操作に関して言えば、複数のソフトやWebブラウザにまたがるような操作も可能です。例えば、「まずWebアプリを開き、その中の請求書情報をコピーして、会計ソフトの該当欄にペースト。それを必要な社数分繰り返す。」といった具合です。日頃、皆様の事務所でもこのような作業がありませんか?
▼RPAに向いているデータや作業
なお、RPAをスムーズに活用するには、RPAに向いている環境(データ形式)や作業を選び準備することが肝心です。イメージとして、以下の表をご覧ください。
○ 向いている |
× 向いていない |
テキスト認識できるデータ |
画像等、テキストベースではないデータ |
入力形式が定型フォーマット等で揃っているデータ |
データの読み取り時にバラつきが出てしまうデータ(人によって入力形式が違う等) |
○ 向いている |
× 向いていない |
判断による分岐が少ない作業フロー |
判断による分岐が多い作業フロー |
例外の少ない作業フロー |
例外の多い作業フロー |
単純・大量・反復作業 |
複雑・少頻度・個別の作業 |
もちろん、上記で「向いていない」となった例でも、良いやり方があるケースもあるのですが、一般的に上記の通り、機械的に判断できるような、いわゆる「ルーティン作業」が、RPAが最も力を発揮する分野です。
▼RPA活用3大パターン
では、会計事務所や企業の経理部門において、実際どのような場面でRPAが活用されているのか、大きく分けて3つのパターンをご紹介しましょう。
①仕訳データの入力
会計事務所・企業の経理部門いずれにおいても、定型化されたデータに基づく仕訳データの入力にRPAが活用されるケースがまず非常に多いです。
②会計データの出力・加工
また、システムから出力した会計データを、クライアントへの報告形式に加工する作業や、経営管理資料へ加工する作業といったデータ加工による分析作業もRPAの主な活用分野です。その他、各種申告書作成関連でも、システムからの出力やその加工をRPAに任せることができます。
③一般的なバックオフィス業務
上記の他にも、作業手順の決まっているバックオフィス業務は、非常にRPAとの相性が良い分野です。
いかがでしょうか。RPAの活用イメージが湧いてきましたか?
▼会計事務所や経理部門におけるRPA“はじめの一歩”
それでは、もう一歩だけ踏み込んで、皆様がもしRPAを導入するとしたら何から着手すればよりスタートしやすいか、どのような点に気を留めれば良いか、いくつかお伝えしてみたいと思います。
■「単純な」データ入力
お伝えした通り、データ入力は、RPAの得意分野の一つでもありますが、請求書管理データや未収未払の管理データなどのようにクライアント毎にフォーマットが異なっていたり、入力形式がRPAに最適化されていなかったりするデータの入力は、RPAに慣れていないといきなりでは難しく、躓いてしまうかもしれません。よって、まずは、銀行入出金明細やWebアプリの請求書データのようなフォーマットが安定したデータ入力から取りかかるとスムーズでしょう。
■会計ソフトやシステムからの出力データを活用!
会計ソフトやシステムから出力されるデータは、Excelファイル形式やCSVファイル形式であることがほとんどです。また、出力されるフォーマットも決まっています。ですので、その出力データを加工する作業の自動化はRPA導入の第一歩としておすすめです。例えば以下のような作業が挙げられます。
✓会計ソフトや会計システムから月次試算表を出力し、報告用のフォーマットに加工する
✓試算表や総勘定元帳などから特定の税制優遇制度が適用できるかをチェックする
✓仕訳日記帳データをExcelデータとして出力して異常値を検証する
etc.
上記のような作業自体は、一般的に各職場の業務フローの中で、データ加工用のフォーマットが既に準備されているパターンが多く見受けられます。その場合、複雑な検証そのものはデータ加工用のフォーマットに組み込まれた算式が担当するため、「人手による作業」としては、データをソフトやシステムから出力するだけであったり、出力されたデータを人間が定型フォーマットに流し込む部分だけであったりする場合がほとんどです。そのような業務フローである場合は、その「人手による作業」部分をロボットに置き換えればスムーズに自動化できます。
*ロボット動画
R4_摘要別3期売上集計Robo
R4_所得拡大税制データ抽出Robo
▼RPAを戦力として、職場の生産性向上を!
いかがでしたでしょうか。今回は、「RPAの基本中の基本」というコンセプトで、皆様にRPAの活用イメージを大まかに描いていただくことを目的にコラムを進めてまいりました。お伝えしてきた通り、RPAに向いている作業から着手していけば、RPA導入のハードルは決して高くなく、しかも軌道に乗れば、日々の単純なルーティン作業をミスなくスピーディーに進めてくれる頼もしい存在です。今後、RPAが皆様の一助となり、事務所や会社の生産性向上に繋がっていく日も遠くないかもしれません。ぜひ、RPA活用を視野にいれていただければ嬉しく思います。
次回は、「RPAによるR4以外のソフトの操作及びR4との連携」をテーマに、具体例を挙げながらお伝えしていく予定です。どうぞお楽しみに!