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住宅ローン減税、13年延長の特例措置が令和4年12月末まで延長

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黒田「リエちゃん、令和3年度税制改正大綱が発表されましたね。」

リエ「はい。今回の大綱では新型コロナウイルス感染症で経済が落ち込む中で、個人や企業を支援するための減税措置が多くありますね。」

黒田「そうですね。まだ影響が長引きそうですからね。」

リエ「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)についても、要件の緩和等の改正が入るそうですが、どのような内容か説明していただけますか。」

黒田「いいですよ。まずは、消費税率10%への引上げに伴う反動減対策の上乗せとして、控除期間を通常の10年から13年とした特例措置が令和4年12月末まで延長されます。この適用にあたっては、一定期間内(新築の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外は令和2年12月から令和3年11月末まで)に契約し、令和4年12月末までに入居する必要があります。」

リエ「そうなんですね。」

黒田「それから、住宅ローン控除の適用要件である床面積が、現行制度の50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和される特例措置が講じられます。ただ、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の物件については、納税者の所得制限が3000万円以下から1000万円以下に引き下げられるため、対象者はある程度絞られそうです。また、この特例措置は今回の延長期間に限られています。」

リエ「現行制度の床面積50平方メートル以上(所得制限3000万円以下)の規定はそのままで、床面積40平方メートル以上の方についても所得制限が1000万円以下と厳しくなるものの、住宅ローン控除を受けることができるようになるわけですね。」

黒田「そうなります。所得税から控除しきれない額については、現行制度と同じく控除限度額の範囲内で個人住民税から控除することができます。」

リエ「なるほど~。」

黒田「住宅ローン控除については、原則、年末時点の借入金残高の1%を税額控除する制度ですが、昨今では借入利率が1%を切るという住宅ローンも多く、住宅ローン控除の控除率1%を下回ってしまうような問題がありました。」

リエ「毎年の住宅ローン控除の控除額が年間の利息合計より上回っていることが好ましいってことですよね。」

黒田「この点については、年末時点の借入金残高の1%か、その年に支払う利息合計の少ないほうを控除額にするなど、現行制度の控除額等の在り方を令和4年度税制改正で見直すこととされています。」

リエ「時代に応じた制度改正が求められているんですね。」

黒田「今回の税制改正大綱については、来年の国会通過までは内容が変更になる可能性もありますので、注意が必要です。」

監修

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税理士 坂部達夫

坂部達夫税理士事務所/(株)アサヒ・ビジネスセンター

 東京都墨田区にて平成元年に開業して以来、税務コンサルを中心に問題解決型の税理士事務所であることを心がけて参りました。
 おかげさまで弊所は30周年を迎えることができました。今後もお客様とのご縁を大切にし、人に寄り添う税務に取り組んでいきます。

メールマガジンやセミナー開催を通じて、様々な情報を発信しています。

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黒田「リエちゃん、令和3年度税制改正大綱が発表されましたね。」リエ「はい。今回の大綱では新型コロナウイルス感染症で経済が落ち込む中で、個人や企業を支援するための減税措置が多くありますね。」黒田「そうですね。まだ影響が長引きそうですからね。」リエ「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)についても、要件の緩和等の改正が入るそうですが、どのような内容か説明していただけますか。」黒田「いいですよ。まずは、消費税率10%への引上げに伴う反動減対策の上乗せとして、控除期間を通常の10年から13年とした特例措置が令和4年12月末まで延長されます。この適用にあたっては、一定期間内(新築の場合は令和2年10月から令和3年9月末まで、それ以外は令和2年12月から令和3年11月末まで)に契約し、令和4年12月末までに入居する必要があります。」リエ「そうなんですね。」黒田「それから、住宅ローン控除の適用要件である床面積が、現行制度の50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和される特例措置が講じられます。ただ、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の物件については、納税者の所得制限が3000万円以下から1000万円以下に引き下げられるため、対象者はある程度絞られそうです。また、この特例措置は今回の延長期間に限られています。」リエ「現行制度の床面積50平方メートル以上(所得制限3000万円以下)の規定はそのままで、床面積40平方メートル以上の方についても所得制限が1000万円以下と厳しくなるものの、住宅ローン控除を受けることができるようになるわけですね。」黒田「そうなります。所得税から控除しきれない額については、現行制度と同じく控除限度額の範囲内で個人住民税から控除することができます。」リエ「なるほど~。」黒田「住宅ローン控除については、原則、年末時点の借入金残高の1%を税額控除する制度ですが、昨今では借入利率が1%を切るという住宅ローンも多く、住宅ローン控除の控除率1%を下回ってしまうような問題がありました。」リエ「毎年の住宅ローン控除の控除額が年間の利息合計より上回っていることが好ましいってことですよね。」黒田「この点については、年末時点の借入金残高の1%か、その年に支払う利息合計の少ないほうを控除額にするなど、現行制度の控除額等の在り方を令和4年度税制改正で見直すこととされています。」リエ「時代に応じた制度改正が求められているんですね。」黒田「今回の税制改正大綱については、来年の国会通過までは内容が変更になる可能性もありますので、注意が必要です。」
2020.12.14 15:57:43