新型コロナウイルス感染症と医療費控除
リエ「毎日マスクを着けて仕事をするのが当たり前になっていますが、黒田さんもマスクは買っていますよね。」
黒田「もちろんです。使い捨てのマスクですから1日1枚は消費していますね。」
リエ「私もかなりの量のマスクを買っていますが、これって医療費控除にはならないんですか?」
黒田「残念ながらマスク代は医療費控除の対象にはなりません。医療費控除というのは原則として治療のためにかかった費用を対象としますので、予防や健康維持のための費用はその対象とはなりません。コロナウイルスの感染拡大が懸念されている今の状況でも、これについては改正も特別な措置もありませんので、マスク代は医療費控除にはならないことが国税庁のコロナウイルスに関するFAQでも公表されています。」
リエ「やっぱりそうですよね、ちなみにPCR検査費用はどうなんでしょう。」
黒田「自費で検査すると安いところでも1万数千円はかかる費用ですから気になるところですね。これも国税庁のFAQで公表されていて、PCR検査費用は医療費控除の対象になる場合とならない場合があります。」
リエ「医療費控除の対象になるのはどんな場合ですか。」
黒田「2つあって、まずは医師等の判断によりPCR検査を受けた場合です。これは結果が陽性か陰性かに関わらず医療費控除の対象になるとされています。もう一つは自己判断で検査を受けた結果、陽性と診断されてそのまま引き続き治療を行った場合です。」
リエ「医師等からの紹介で保険適用されるPCR検査を受けた場合は、自己負担分も公費で負担してもらえましたよね。」
黒田「そのようですね。公費で負担してもらえた部分は、実質的に医療費を負担したことになりませんので、結果として医療費控除の対象にはなりません。ただ公費負担してもらえなかった初再診療等の診療費は医療費控除の対象となります。」
リエ「なるほど、公費負担があるのは検査費用だけで、初診療代や再診療代は自分で負担するからそういうことになるわけですね。」
黒田「ちなみに、先ほど申し上げた国税庁のFAQでは、オンライン診療にかかった費用にも触れていて、オンライン診療にかかる費用のうち、『オンライン診療料』、『オンラインシステム利用料』、『処方された医薬品の購入費用』といったものは医療費控除の対象になり、『処方された医薬品の配送料』は対象とならないことが例示されています。」
リエ「そうなんですか、意外とややこしいですね。いずれにしてもコロナウイルスに限らず病気やケガをしないで医療費がかからないのが一番なわけですから、今後も体調に注意することが大事ですね。」