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創業融資でよくある否決理由【part2】

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元公庫職員VTuberのみつきです。

前回は「否決理由を理解しておくべき理由」についてご紹介しました。
第2回目では創業融資でよくある否決理由『基礎編』として、最もよくある否決理由についてご紹介していきます。
これからご紹介していくものは、融資を申込むうえで「これくらいは最低限押さえておいてほしい…!」というものになりますので、中小企業や個人事業主の方は是非きっちり押さえたうえで融資申込の準備をしてほしいですし、創業融資支援をされているorこれから始めようと検討している会計事務所の方はチェックリストとして活用してもらえればと思います。

① 自己資金が少ないorゼロ

日本政策金融公庫が自己資金の有無を確認しているのは、自己資金から創業に対する覚悟がどれだけあるのか、創業までの計画を作って立てた計画を着実に遂行してきたのかを判断するためになります。
創業融資のほとんどのケースで適用されている新創業融資制度の対象要件には「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方」と明記されています。
自己資金を出さない創業計画を提出されると、審査担当者は「『事業が失敗しても自分のお金じゃないから大きな損失にはならないだろう。』と事業主は考えてしまい、事業を軌道に乗せる思いが弱いのでは?」とネガティブな印象を持ちます。
また、創業にあたっての資金を準備していないことから「今回の創業はいきあたりばったりな計画なのでは?」とも捉えられてしまい、経営者としての資質が不足していると判断されかねません。

創業を予定しているけれども資金が不十分の場合は、焦らず資金の準備から始めることを創業融資の審査をしてきた元職員としてオススメします。

② 見せ金

先ほどご紹介した自己資金のお話と関連しますが、見せ金も創業融資の否決理由でよくあるケースです。
見せ金とは、第三者から一時的にお金を借りて、さも自分のお金であるかのように金融機関に提示して審査が終わった後に借りていたお金を返すことです。
見せ金に手を出してしまう方は「自己資金がないけど創業融資を受けたい!」「たくさん自己資金があるかのように見せて少しでも多くの融資を受けたい!」という動機が多いのだと思います。

断言しますが見せ金は担当者にバレます。
バレた時点で融資は断られますので、見せ金の準備に使う時間や労力を自己資金を蓄えることに使ったほうが何倍も有意義です。

③ 斯業経験が少ないorゼロ

斯業経験というのは、「これから創業する事業に関連する業種での勤務経験」のことを言いまして、どれだけ経験を積んだうえでの創業なのかを日本政策金融公庫は審査のポイントに置いています。

例えばですが、これまでサラリーマンとして何年も勤めていた友人から「飲食店を始めたいのでちょっとお金貸してくれない?」と頼まれたら、あなたはお金を貸しますか?
これだけの情報ならばほとんどの人が「貸したくない」と思うのではないでしょうか。
貸したくないと思う理由はいくつかあると思いますが、まず感じるのは「本当に飲食店始めて大丈夫なのか?」ではないでしょうか。

この感覚はそのまま日本政策金融公庫の創業融資にも当てはまります。
日本政策金融公庫は何でもいいから創業を増やしたいわけではなく、しっかり軌道に乗る事業を一つでも世の中に増やすことをミッションとしています。
斯業経験を積むことで、事業を軌道に乗せるために必要なスキルが身につくと日本政策金融公庫は考えていまして、創業融資の審査のポイントにしているのです。


以上が最低限押さえておきたい創業融資の否決理由でした。
当てはまるものがある創業予定の方は焦らずに時間をかけてでも解決してから融資申込をするようにしましょう。
また創業融資支援をしている方にとっては「むりやり創業させない」こともときには必要なことだと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

執筆者情報

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みつき

VTuber。日本政策金融公庫にて様々な業種の融資審査・債権回収に従事。この経験を活かし、YouTubeチャンネル「公庫融資のエッセンス」にて中小企業や個人事業主が日本政策金融公庫から融資を受けるときに知っておきたいことについて発信を行う。

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2020.08.31 17:00:34