創設された「納税の猶予の特例」の活用!
リエ「黒田さんこんにちは。今月はウェブ会議方式ということで、ご迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いいたします。」
黒田「はいこんにちは。私もほとんど経験がないのですが、いい機会ですし、お互いこういった遠隔会議システムにも慣れていきましょう。」
リエ「さっそくですが、新型コロナウイルス感染症の影響について心配なことがあるのですが、質問してもいいですか。」
黒田「日々情報が更新されているところなのですが、現状わかる範囲でお答えしますよ。」
リエ「ありがとうございます。そろそろ会社の決算ですが、決算と申告書の作成は申告期限までに完了させる見込みはあるものの、納税をした場合に資金不足になる可能性があるので心配しています。何か対策はありますか。」
黒田「なるほど。納税地が東京なので申告期限も含めて延長するという方法もありますが、申告は期限までに行ったうえで、納税についてだけ納税猶予制度を利用するという方法もあります。」
リエ「納税猶予というのは、納税を期限後に行うということですよね。でも延滞税ってすごく高いイメージなのですが。」
黒田「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が大幅に減少している事業者に向けて、納税の猶予の特例(特例猶予)が創設されました。特例猶予に認められると、猶予期間中の延滞税は全額免除となります。」
リエ「延滞税がかからないなら、資金繰りが安定するまで納税猶予を検討してもいいかもしれないです。どれくらい待ってくれるんですか。」
黒田「原則として納期限から1年間です。なお担保の提出は不要ですが、令和2年2月以降の任意の期間(1ヵ月以上)において、事業等の収入が前年同期と比較して、おおむね20%以上減少していること、それにより一時の納税が困難な状況にあることを目安の一つにしています。目安の一つというのは、必ずしも20%以上減少していなくとも、事情により特例猶予が認められるケースもあるということです。」
リエ「一時の納付が困難かと言われると、不可能というほどではないというのが正直なところでしょうか。」
黒田「そうですか。この特例猶予を申請する場合に納税の猶予申請書を提出するのですが、この申請書で納付可能金額を計算する形になっています。納付可能金額は現預金残高から当面6ヵ月の支出予定額を差し引いた金額になりますが、この納付可能金額は納付しなければなりません。支出予定額というは、支出実績を基に臨時の支出額なども考慮して計算することになります。」
リエ「その計算方法であれば、納付可能金額は出ないかもしれません。申請書はいつまでに提出しなければならないのでしょうか。」
黒田「原則は申告期限までですが、令和2年6月30日より前に申告期限が到来する場合は、6月30日が申請書の提出期限となります。電子申請も可能なので、必要な情報を頂ければ税理士による代理送信も可能です。」
リエ「1年待ってもらえると、少しは落ち着いて資金繰りを考えられますね。」