電子申告による働き方改革への影響
大法人の電子申告義務化とは
令和2年4月1日以降開始事業年度から資本金1億円を超える大法人については、法人税、法人地方税、消費税、地方消費税および法人住民税、法人事業税の確定申告書、中間(予定)申告書、修正申告書、還付申告書等を提出する際は電子申告が必須となります。
大法人の電子申告義務化については「電子申告義務化」コラムに詳細を記載しています。是非ご一読ください。
今回は、電子申告・電子納税を導入することによる事務処理のメリットをご紹介。
電子申告、電子納税を導入することにより、机上の処理で申告と納税がすべてできることから、下記のような様々なメリットがあります。
■申告書提出のために出向く官公庁への時間や郵送費を節約
従来、郵送で申告書等を提出する場合には、「税務署」、「都道府県税事務所」、「市区町村役所」宛て郵送用の封筒を用意し、更に収受印が付いた控用の申告書を入手する為に返信用封筒を同封されている企業が多かったかと思います。これらの業務には手間や、切手・郵送といった通信費もかかっていました。
電子申告(e-TaxやeLTAX)で申告書等を提出すれば、インターネット経由で簡単に申告ができ時間の削減と、切手や郵送といった通信費の節約ができます。
■金融機関に出向く時間を削減
令和元年10月1日より従来の「国税の電子納税」に加えて「地方税の電子納税」についても、共通納税システムが導入されました。これにより、金融機関へ出向く手間と時間を大幅に削減することができます。
「地方税の電子納税」の共通納税システム導入により毎年の法人税、法人地方税の納付を電子納税でできるのはもちろん、毎月の源泉所得税と住民税特別徴収の納付についてもすべて電子納税が可能です。
今までは、電子納税に対応していない市町村に対する納付がある場合には、金融機関に出向いて納税するしかありませんでしたが、事前の申請手続きをとれば職場にいながら電子納税ができるようになりますので、大幅に時間を削減することができます。
【事前の申請手続】
■一部の書類提出が不要
平成30年4月から収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例等の制度の適用を受ける場合に法人税の申告書に添付することとされている土地収用証明書等について、添付が不要となっています(書面申告の場合も含めて措置)。
なお、当該証明書は保存することを要します。
【提出不要な土地収用証明書等のリスト】
■書類をPDFファイルにて保存、添付書類の紙原本の保存不要化
平成30年4月からイメージデータ(PDF 形式)で電子送信する添付書類について、一定の解像度及び階調の要件を付した上で、PDFファイルでの保存が認められ、紙原本での保存が不要となります。
この措置により、税務署長による当該添付書類の紙原本の提示等を求める措置は廃止されました。
【イメージデータ(PDF型式)について】
【添付書類の紙原本の保存不要化について】
■財務諸表や勘定科目内訳書がCSV形式により送信(提出)可能
①法人税申告書別表(明細記載を要する部分)及び勘定科目内訳明細書のデータ形式の柔軟化
平成31年4月から法人税の申告において、e-Tax 等により別表(約50帳票)の明細記載を要する部分及び勘定科目内訳明細書を送信する場合のデータ形式について、現状のXML形式のほか、エクセル等で作成可能なCSV形式により送信(提出)することができるようになっています。
②財務諸表のデータ形式の柔軟化
令和2年4月から法人税の申告において、e-Taxにより財務諸表を送信する場合のデータ形式について、現状のXBRL形式のほか、CSV形式により送信(提出)することができるようになります。
なお、上記①、②の場合において、データの作成・処理等の円滑化を図るため、国税庁から勘定科目コードが公表され、それを含んだ利用者が簡易な操作で電子ファイルを作成することができる雛形も合わせて提供されます。
【CSV形式データの作成方法について】
【CSVファイルによる財務諸表等帳票の作成について】
■更なる業務効率を図るなら会計と税務のソフトが必須
会計ソフトと税務ソフトが連携していれば、電子申告の際、決算書や内訳書、事業概況説明書をボタン一つで法人税申告書の電子データに取り込むことができるので、大幅な時間の短縮ができます。
エプソンのR4シリーズの様に税務・財務を両方提供しているメーカーのものがオススメです。
この様な様々なメリットを得る為、下記準備をしっかり行いましょう。
■マイナンバーカードや商業登記認証局発行の電子証明書の準備
電子申告の際は、マイナンバーカードや商業登記認証局が発行している電子証明書などが必要です。
※マイナンバーカード(ICカード)の場合カードを読み込むカードリーダーが必要です。
【商業登記について】
■申告書提出時の事務処理のフロー見直し
想定される電子申告時の事務フローは以下の通りです。
①決算書、内訳書、事業概況説明書と法人税申告書を作成する
②法人税申告書のデータを電子申告用データに変換する
③決算書、内訳書、事業概況説明書を法人税申告書の電子申告用データに取り込む
④送信権限がある方が送信する(社長でなくてもOK)※送信時に添付書類も併せて送信します。
⑤メッセージボックスを開き、ダイレクト納付の手続きをとる
慣れてくると②から⑤まで15分かからないくらいで完了できます。
令和2年4月1日以降開始事業年度から開始される「大法人の電子申告義務化」に向け事務フローの見直し、システム準備等を具体的に進めていく事をおすすめします。
また、令和2年2月の大塚商会主催「実践ソリューションフェア2020」にて「電子申告義務化で変わる経理部門の働き方改革!事前対策とシステムの紹介」と題しセミナー登壇致します。
今回の内容にご興味ある方は是非セミナーにもご参加ください。
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大塚商会 実践ソリューションフェア2020
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開催日:東京会場(ザ・プリンス パークタワー東京):2月5日(水)~7日(金)
大阪会場(グランキューブ大阪):2月13日(木)~14日(金)
名古屋会場(ヒルトン名古屋):2月19日(水)~20日(木)
*4月以降も全国で開催予定です。
<セミナーのご案内>
セミナー名:電子申告義務化で変わる経理部門の働き方改革!事前対策とシステムの紹介
概要:2020年4月より大法人の法人税、消費税は電子申告義務化されます。
本セミナーでは、事前準備からSMILE V等を利用した電子申告へのデータ連携をご紹介します。
・2月7日(金) 10:00 ~ 11:00(東京会場) 詳細はこちら
・2月14日(金) 13:00 ~ 14:00(大阪会場) 詳細はこちら