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【建設】建設業の「経営力向上計画」の策定についての注意点

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1.業種別に実施事項が示されているが、建設業は以下の通り「指針」の内容が他の業種以上に細かく定められている。

 一.人に関する事項
  イ.教育訓練、ロ.多能工の育成、ハ.従業員の処遇改善
 二.財務に関する事項
  イ.原価管理を高度化し事業計画を策定する、ロ.社内業務の効率化
 三.営業活動に関する事項
  イ.年間受注計画の策定、ロ.適正な利潤の確保
 四.新技術の導入
  イ.ICT等の導入、ロ.新技術の導入、ハ.生産性向上への連携した取組
 五.中長期的な人材確保
  イ.中長期の人材確保、ロ.人事評価体系等の整備、ハ.女性、高齢者の活躍、ニ.事業承継
 六.イメージ向上への取組
  イ.PR活動、ロ.省エネへの取組、ハ.BCPの策定

2.経営力向上にあたり設定すべき経営指標には、労働生産性を示すA類型と投資利益率を示すB類型があり、いずれかを選択できるが、建設業においてはA類型の労働生産性を選択すべきものとされている。

 労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷従業員数
 投資利益率=(営業利益+減価償却費)÷投資額×100

3.生産性向上計画が認定されると即時償却や税額控除等の税制措置が受けられるが、その他に「ものづくり補助金」での加点が得られる。

 「ものづくり補助金」の「採択」を得た場合は、設備投資額の2分の1(下限100万円、上限2000万円)の額の補助金が交付される。
 経営力向上計画の認定を受ける場合、補助金の受給までを視野に入れておくべきである。

この記事の執筆者

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一般社団法人コンサル技連

【コラム紹介文】
一般社団法人コンサル技連(略称:CML)/代表理事 吉永茂が、全国の士業事務所の皆様に、中小企業に対する“経営助言業務”の強化を図るための様々な視点を提示します。
 得意とする建設業種特化のみならず、幅広い業種に適用できるテーマを取り上げます。
【経歴】
1942年生まれ
中央大学卒
公認会計士・税理士
建設会社勤務中、公認会計士試験に合格。監査法人勤務を経て、35歳で独立、現在に至る。
熊本学園大学会計職専門大学院 専任教授(前職)
一般社団法人コンサル技連 代表理事
税理士法人ユース会計社 会長
京都大学経営管理大学院 特命教授

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1.業種別に実施事項が示されているが、建設業は以下の通り「指針」の内容が他の業種以上に細かく定められている。 一.人に関する事項  イ.教育訓練、ロ.多能工の育成、ハ.従業員の処遇改善 二.財務に関する事項  イ.原価管理を高度化し事業計画を策定する、ロ.社内業務の効率化 三.営業活動に関する事項  イ.年間受注計画の策定、ロ.適正な利潤の確保 四.新技術の導入  イ.ICT等の導入、ロ.新技術の導入、ハ.生産性向上への連携した取組 五.中長期的な人材確保  イ.中長期の人材確保、ロ.人事評価体系等の整備、ハ.女性、高齢者の活躍、ニ.事業承継 六.イメージ向上への取組  イ.PR活動、ロ.省エネへの取組、ハ.BCPの策定2.経営力向上にあたり設定すべき経営指標には、労働生産性を示すA類型と投資利益率を示すB類型があり、いずれかを選択できるが、建設業においてはA類型の労働生産性を選択すべきものとされている。 労働生産性=(営業利益+人件費+減価償却費)÷従業員数 投資利益率=(営業利益+減価償却費)÷投資額×1003.生産性向上計画が認定されると即時償却や税額控除等の税制措置が受けられるが、その他に「ものづくり補助金」での加点が得られる。 「ものづくり補助金」の「採択」を得た場合は、設備投資額の2分の1(下限100万円、上限2000万円)の額の補助金が交付される。 経営力向上計画の認定を受ける場合、補助金の受給までを視野に入れておくべきである。
2019.09.17 16:21:14