3.《移転価格税制》取引価格の変更による所得流出を防ぐ
(12/10/01)
●租税回避の意図がなくとも所得が流出していれば課税される
移転価格税制は、海外に所得移転が行われているケースを問題としているのであって
納税者に租税回避の意図があったかどうかは問われません。
移転価格税制上、
関連者間の移転価格は、「独立企業間価格」、すなわち独立第三者間であるならば付されたであろう金額でなければならないとされています。
移転価格と独立企業間価格が乖離した場合について、納税者の申告所得が減少する場合のみが問題視され、逆のケース(所得流入)については問題とされません。また、検討は原則として事業年度ベースでなされます。
なお、当該取引の対価の額と独立企業間価格との差額については、損金の額に算入されません。
たとえば、日本の親会社が製造原価50で製造した製品を中国子会社に100で販売し、中国子会社が顧客に150で販売するケースで考えてみます。このケースで親会社から子会社への販売価格を80に下げた場合には、日本の所得が30に減少し中国の所得が70に増加します。
つまり、親会社から子会社への販売価格を操作することにより、日本の所得を意図的に減少させることが可能です。
このような操作の結果、日本からの所得の海外移転に対処するため、移転価格税制が整備されています。