5.中小企業経営者が考えるべきポイント


 金融機関が行う「債務者区分による資産査定」の業務は「図―5」のようなステップで行わるが、金融機関の信頼を得る為にも、事業そのものを正確に評価できるための情報を正確に適切に提示することが第一のポイントである。

 また、金融機関としては業績不振に陥った企業を支援する場合、対象となる企業の実情を定期的にモニタリングすることを指導されており、業績不振の要因を明確に説明できる根拠を把握し、改善計画を策定している場合は計画の進捗状況を定期的に報告し、未達成の場合はその要因と改善の可能性と具体的対策を明確に説明できる事が重要なポイントとなる。

 金融機関による業績不振企業に対する対処方法として考えられるものには大きく「再生型スキーム」と「クローズ型スキーム」に分類され、企業の置かれている状況によって手法は異なるが、金融機関側が「支援するか」「支援を見直すか」を判断する際のポイントとしては「図−4」のとおり4つの要因が考えられる。

 金融円滑化法により借入金の返済を猶予してもらっている、返済の条件を緩和してもらっている企業は、基本的に「経営改善計画」の提出が義務付けられているはずであるが、当該計画を未だに提出していない企業の場合は、今年度中には必ず提出できるようにしなければならない。提出している企業であっても計画が未達成の場合は、再度、実現可能性の高い計画書を提出することが必要となる。

 金融機関との取引関係を良好な状態に改善し、維持する上でも、経営者自身が「再建計画」に必要な対策を考え、且つ、より具体的な計画を立案し説明できるように準備、努力することが、金融円滑化法の期限到来への備えに他ならないであろう。


【図−5】
図−5
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