会計事務所経営戦略レポート

2012年時流予測と会計事務所の経営戦略

成功するやり方と失敗するやり方の違いとは?

1.低価格会社設立+年一決算モデル

 「低価格」「ディスカウント」と聞いただけで、アレルギー反応を起こす会計事務所のトップは少なくありません。そういう方々は、【低価格≒低品質≒粗悪な顧客】という公式を瞬時に思い浮かべるでしょう。まずは、その悪しき常識を捨てましょう。このモデルを実践している会計事務所の年間顧問料の平均は50万円を下回りません。

 確かに、集客時点や、契約当初の時点では、他の会計事務所より「低価格」を売りにします。しかし、見せ方としての「低価格」と、「高品質で低価格にすることによる顧客満足の向上」が、顧客に支持され、爆発的な顧客増につながっているのです。

 まず、「低価格」の狙いは、「敷居を下げて、見込み客を最大化すること」であり、その上で品質がよければ、顧客からの信頼も得ることが可能となります。そうすることで、主導権が会計事務所側に移り、こちらからの提案を受け入れる土壌ができるのです。

 そして、一番のポイントは「雨ざらしマーケット」を狙う! ということに尽きます。「雨ざらしマーケット」とは、一般の会計事務所・税理士事務所が今まで相手にしなかった・・・もしくは、面倒だとか客層が良くないという理由で手をつけてこなかった・・・という、新設法人や個人事業主・小規模法人です。年一はやらない! という会計事務所・税理士事務所は多いため、逆にそこを行えば、「競合なし状態」が作り出せるのです。

 このモデルの成功の鍵(KFS)は、「低価格で高品質かつ低利益率ではない」ということになります。「そんなばかな!」とお思いでしょうが、それを実践している事務所があるという事実は揺らぎません。


2.新型・経理代行モデル

 この分野はBPO(アウトソーシング)業務と呼ばれています。この3年間、ずっと「次世代の会計事務所ビジネスの中心になる」といい続けてきました。BPOマーケットは2010年には、2004年の税理士事務所・会計事務所の市場規模を超え、更に年率3〜5%の拡大が見込めるマーケットです。大手企業もこの分野に一気に参入してきています。

 しかし、会計事務所がこのビジネスに取組むには、対象が「中小零細企業である」ということが、問題になっていました。しかし、今年あたりから中小企業から中堅企業のBPO(アウトソーシング)業務を受注し、更に顧問契約につなげる成功事例が増加しています。

 もちろん、最初から狙ってできたわけではありません。小さい代行業務をポツポツと受注し、実績を重ねながら、大きな受注につながってきています。

 また、「記帳代行」を否定してきた会計事務所にとって、このビジネスに取組むことは、心理的な障壁が厚く、それを取り払うことが求められます。しかし、このビジネスに取組むことで、先の2つのモデル・・・「低価格会社設立+低価格顧問」および「コンサル業務付加モデル」の展開に好影響を与えることが分かってきました。

 受注の仕方としては、「一点突破全面展開」です。何かひとつの切り口から入って、受ける業務領域をどんどん拡げていきます。


3.相続フルサポートモデル

 相続関連ビジネスがこれからの会計事務所・税理士事務所経営において、大いに収益性を高めることができるものであることに異論を唱える方は少ないでしょう。一昨年あたりから、会計事務所・税理士事務所だけでなく、行政書士さんや司法書士さんも「相続関連ビジネス」に関わるケースが増えてきました。専用の「相続ホームページ」を立ち上げて、相続が発生した方から「名義変更手続き」や「遺産分割協議書」を作成する、いわゆる「相続手続き業務」の需要は拡大傾向にあります。

 しかし、現実的には会計事務所・税理士事務所よりも行政書士さんや司法書士さんの方が成果を出している状況です。結果として会計事務所・税理士事務所の主力商品である「相続申告」をとり逃しているケースが見受けられます。

 この状況打破するために、「相続」というテーマに加えて、いわゆる「資産税関連ビジネス」を、既存客および新規客に展開しているところが元気がある事務所です。

 相続発生後だけでなく、発生前にお客様にアプローチすることで、資産税部門の売上が急速に伸び始めているのです。もはや会計事務所・税理士事務所が取組むべきは、相続発生後ではなく(もちろんこの部分の精度は上げなくてはいけません)相続発生前に見込客を囲い込むか?! ということに尽きるのです。

 相続が発生したお客様にダイレクトにアプローチする仕組(特に、紙媒体を活用しての集客)に加えて、WEBでの受け皿をしっかりと構築すること・・・。そして、一般のお客様に丁寧にサポートする内容と明確な価格提示をすることで、お客様からの信頼を得る体制の強化がポイントと言えるでしょう。


4.営業力圧倒的一番化モデル

 これについては、「会計事務所・税理士事務所に営業は向かない」とか「営業専任を置くと人件費があわない・・・」ということを気にされる方々が多いのですが、専任をおくにしても、兼務で行うにしても、「営業」=「自社のサポート内容を新しいお客様に伝えること」と定義して行っているところは、確実に成果に繋がっています。

 もちろん、まず最初に取組むべきは「監査担当者が紹介を年間一件獲得すること」からのスタートです。そして、そこから拡げて、「監査のための訪問」から「お客様が困っていることの把握のための訪問」へステップアップして、「お客様の問題解決のための自社サービスの提案」=「営業」という段階に進んでいく仕組と意識改革を行っていけばいいのです。


興味をもたれた方は 0120−950−270


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