会計事務所経営戦略レポート

2014年の時流予測と会計事務所の経営戦略
〜代行屋から脱却し、永続企業になるための方法!〜

伸びる事務所は今行うべきことが明確である!

 先ほどの18項目は、業績が伸びている事務所の全てに共通しているわけではありません。その事務所の置かれているステージによって、取組んでいる項目は異なります。商圏環境(規模)や地域性によっても若干異なりますが、概ねステージ別に取組んでいること(つまり業績を伸ばす要因)を整理してみます。

★売上5千万〜1億円の事務所

 このステージに必要なことは、一にも二にも「マーケティング力の強化」です。

 具体的には、税務に加えてそれ以外の商品・サービスを付加し、そのビジネスモデルに取組み、お客様を増やしていくことに集中しています。

 私の経営研究会の会員さんで、成果を挙げているモデルとしては、経理代行モデル、新設法人フルサポートモデル、相続関連フルサポートモデルの3つが代表的なものになります。その他にも、お客様の売上アップをサポートする「プチコンコンサルモデル」やニッチテーマを徹底的に絞り込んだ「テーマ特化モデル」などが挙げられます。

 どのモデルに取組むかは、商圏環境やその事務所の力を鑑みなくてはなりませんが、とにかくこのステージは、新しいビジネスモデルにチャレンジし、お客様を増やして業績を上げることに集中しなくてはならないのです。大げさでなく、これ以外のことに取組んではいけません。

 そして、もし仮に短期的に業績が上がらなかったとしても、トップが決めたことをトップ自身が信じて、成果を出すまであきらめないことが求められます。

★売上1億円〜3億円の事務所

 このステージにおける課題は、業績を上げることと、現場に権限を委譲し、能動的に現場が動く環境を作ることに集中しています。つまり、業績アップのためには、今取組んでいるビジネスモデルをさらに進化させて効率をあげていくこと、さらに新しいビジネスモデルにチャレンジすること、そして、それを行うメンバーは、トップの指示の元、自主的・自立的かつ能動的に行うようにすることです。

 つまり、売上5千万円〜1億円の事務所が行うべきことを、現場の社員を主体に進めていくことが必要なのです。ここでのトップの役割は、現場への権限委譲を進め、大きな方向性を誤らないように導くことであり、細かいことに口出しをしてはいけません。つまり、やせ我慢が必要なのです。

 そして、もう一つ重要なことは、次のステージである「地域一番事務所を目指す」という明確な意思決定を行い、そのことを社員にしっかり伝えることです。

売上3億円を突破し、5億・10億・圧倒的地域一番事務所、グレートカンパニーを目指している事務所

 このステージの事務所の最大のテーマは、一言で言うと「徹底力」です。

 既に、自社独自のビジネスモデルが完成しつつある状況ですから、そのビジネスモデルの精度を高めることはもちろん、その徹底力を磨きこむことです。

 事務所のミッション・ビジョンを明確にし、3年後の目標、今年の目標を立て、それを実行するための月ごとのアクションプランをつくり、半期・四半期・月・週・日ごとに、行うべきこととその成果を検証しながら、すばやく行動の修正を行う・・・PDCAのサイクルを高回転でまわしていくことが必要です。

 もちろん中心になるのは、現場のリーダーです。目安としては、1億円の売上を達成するリーダーが複数人いるイメージです。そして次の展開としては、そのリーダーが異なるエリアへの出店責任者となって、そこで新たな地域一番事務所を目指していく・・・・。

 そのための、組織体制、採用・教育・経営管理の仕組(システム化も含む)、コミュニケーション体制を構築することが必要なのです。

 このように、皆さまの事務所がどのステージにいるかによって、取組むべき項目と優先順位は、大きく異なっていきます。しかし、私の現場感覚としては、この「取組むべきこと」とトップがやりたいこと(もしくはやろうとしていること)のミスマッチが、多くの税理士事務所・会計事務所では起こっています。

 そして、そのやり方は、事務所ごとに異なります。今、税理士事務所・会計事務所業界では、チェーンストア理論に基づく、ナショナルネットワークへの加盟が促進され、簡単に売上が上がるような風潮がありますが、今の時代、一つのビジネスフォーマットが全国で成功することのほうが不自然です。つまり、地域性やその事務所ならではの強みを活かし、商圏環境や競合環境を見据えた上で、その事務所独自の取組みを行わなければ、絶対に業績は上がりません。

 言い換えれば、「楽して業績が上がる時代」ではないのです。

 正しい戦略、正しい経営が求められているのです。

 そして、税理士事務所・会計事務所が正しい戦略、正しい経営を行うことで、顧問先の経営者が、皆さまの経営をモデルとし、業績を上げていくこと・・・。先の見えない日本という国を、日の出る国に復活させるためにも、皆さまの役割は大きいと言わざるを得ません、このレポートが少しでも、皆さまの事務所経営にお役に立てれば、幸甚に存じます。

 最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。


(株)船井総研研究所 竹内実門


DVD:代行屋から脱却し、永続企業になるための方法!


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