目次 III-4


4.区分所有の高層建物に係る階層格差を付した評価方法の可否

Question
 高層建物の区分所有権の分譲価格が、階層によりその価格も異なるようになっている場合(同じ階層でも部屋の位置により価格が異なることもあるようです。)には、当該建物の区分所有権の評価額の計算はどのようになりますか。

Answer
 区分所有の建物の固定資産税評価額は、原則として1棟の建物の評価額を区分所有者各人の専有部分の床面積の割合に応じてあん分して計算し、専有部分の属する階層等については考慮の対象とはされていません。したがって、この固定資産税評価額を計算の基礎とする建物の相続税評価額の算定についても原則として階層等による評価較差は生じないこととなります。

 このような取扱いをすることについて、特にその高層建物が住宅用である場合には、各階層等に係る分譲価格較差(換価価値上の較差)が生じていたとしても、評価上の弊害があるほどの大きなものでないのが一般的であり、この限りにおいては均分の固定資産税評価額を基に計算した金額により評価することが妥当であると考えられます。(すなわち、階層差が生じているということに固執するあまり、その階層差の判定に恣意性が入った場合には、かえって適正な評価額が算定されないこととなってしまう恐れがあるからです。)

 しかし、高層による眺望権等が、建物の分譲価格を著しく高額としていると認められるような場合のように、単純な面積比によって評価することが著しく実情に即さないと認められるようなときに、階層別の利用効率等を計算する合理的な基準があり、これに準拠して評価額を計算しているような場合にはその計算が認められるものと考えられます。なお、この計算方法を採用する場合には、この階層別の利用効率を乗じて区分計算した評価額の合計額は、1棟の建物の評価額に等しくなるように合理的に計算されていることがその計算の前提条件となります。

 

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