目次 III-10


10.重要文化財に指定されている民家で所有者の居住の用に供されているもの

Question
 私共夫婦が居住の用に供している家屋は、その歴史的な価値の高さから文化財保護法の規定による重要文化財に指定されていますが、当該指定を受けたことにより自由な増改築、修理も思うようにはまいりません。
 このような家屋について、何か相続税・贈与税の取扱いにおける特例はありませんか。

Answer
 文化財保護法第27条第1項の規定により重要文化財に指定されている建造物のうち民家建築である家屋(これと一体をなしてその価値を形成している土地を含みます。)で、所有者の居住の用に供されているもの(以下これらを「重文民家等」といいます。)の価額は、次の計算により計算した金額によって評価します。

評価対象である土地等及び建物等が重文民家等でないものとして財産評価基本通達の定めにより評価した価額(A) −(A)× 60

100
重文民家等の
評価額

 なお、上記により評価をする場合において、重文民家等に該当する土地又は家屋に固定資産税評価額が付されていないときにおける前記の「重文民家等でないものとした場合の価額」は次に掲げる金額とします。

(イ)  土地(倍率方式により評価すべきものに限ります。)
 その土地に類似する土地で固定資産税評価額が付されているものにつき財産評価基本通達の定めにより評価した価額を比準して評価した価額

(ロ)  家屋
 その家屋の再建築価額(課税時期においてその家屋を新たに建築するとした場合に要する費用の合計額をいいます。)から、経過年数に応ずる減価の額を控除した価額の100分の70に相当する金額
 ただし、その家屋につき固定資産評価基準に準じて評価することができる場合は、その評価した固定資産税評価額に相当する価額に財産評価基本通達の別表1に定める倍率(1.0)を乗じて計算した金額

(注)  上記の取扱いは、昭和60年5月18日付直評8個別通達(重要文化財に指定されている民家で所有者の居住の用に供されているものの評価について)によりその取扱いが公表され、昭和60年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得した重文民家等の評価から適用されることとなっています。

 

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