目次 II-14


14.貸家建付地評価の可否に係る判断時点

Question
 父はその所有地上の建物(父所有)を自らが主宰する同族会社に賃貸していましたが、この度、不慮の事故により急死してしまいました。父の相続開始後は相続人等に会社経営の意思がないために休業状態となっており、父より賃借していた建物も未利用状態となっており、相続開始月の翌月からは家賃も支払われていません。(下記資料を参照)

 資料  平成13年5月31日…… 建物賃貸借契約に基づいて、平成13年6月分の賃料を支払い(賃料は、当月末日までに翌月分を支払う前払方式)
 平成13年6月20日…… 父に係る相続開始
 平成13年6月30日…… 平成13年7月分の家賃は支払われていない。

 上記のような状況において、父所有地の宅地の評価態様を貸家建付地として取り扱うことは可能でしょうか。

Answer
 相続税等における財産の評価は、相続税法22条によって時価によるものとされており、当該時価の具体的な解釈として、財産評価基本通達の『1(評価の原則)の(2)時価の意義』において、『時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日〔中略〕をいう。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいう。』と定められています。

 すなわち、相続税等における財産評価の時点は、上記に掲げるとおり、相続税法22条及び財産評価基本通達1(2)において、相続、遺贈又は贈与により財産を取得した(みなし取得を含みます。)時点である課税時期となります。

 そうすると、ご質問のような場合には、資料から判断して、課税時期であるお父様の相続開始日においては、お父様所有の建物に係る賃貸借契約が継続しているものと認められますので、当該建物を貸家とし、当該建物の敷地を貸家建付地として評価することが認められるものと考えられます。

 

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