目次 II-13


13.サブリースシステムを採用している場合の貸家建付地評価上の留意点

Question
 賃貸アパートの空室リスクを回避するために、賃貸アパートを不動産管理会社等に一括して貸し付け、賃貸アパートの所有者は、実際の入居者の有無にかかわらず、毎月一定額の家賃を当該不動産管理会社等から収受する契約方式(これを『サブリースシステム』といいます。)が最近では、相当普及しているようです。
 このサブリースシステムを採用している場合の当該賃貸ビルの敷地の用に供されている宅地については、常に、貸家建付地として評価することが可能でしょうか。

Answer
 被相続人所有の賃貸アパートを一括して不動産管理会社に貸し付けている場合における当該アパートの敷地の用に供されている宅地については、たとえ、課税時期において空室が生じていたとしても、貸主である被相続人は借主である不動産管理会社に借家権をもたれていると解されるので、原則として、その賃貸アパートの敷地である宅地全体について貸家建付地として評価することができるものと考えられます。

 ただし、一括貸付契約の相手先が貸主(その親族等特殊関係者を含む。)の主宰する同族会社で、その同族会社自体が積極的な入居者確保等のための事業活動を行わず、他の実際に事業活動を行っている不動産管理会社に業務を再委託する等、貸主による一括貸付けの目的が単に実際の入居者の有無にかかわらず、賃貸アパートの敷地である宅地の評価を常時、貸家建付地として行うためのみにあるものと課税庁において認定された場合には、『租税回避行為』に該当するものとして、貸家建付地としての評価を行うことはできないものと考えられます。(このような場合には、自用地として評価することになると考えられます。)

 

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