目次 II-11


11.貸家を建替え中に課税時期が到来した場合の当該建築中の家屋の敷地の評価

Question
 私の父は、従来よりアパートの貸付けを行っていましたが、アパートが相当老朽化しましたので建替えをすべく、建築業者に工事を行わせていました。ところが工事の半ばで急死してしまいました。この場合において建築中の家屋の敷地の評価はどのようになりますか。なお旧来のアパートの入居者には立退料を支払って借家契約を全て解約しています。

Answer
 貸家建付地の評価は、課税時期において現実に借家権の目的となっている家屋の敷地であることが必要です。したがって、課税時期において建築中の家屋がたとえその建築構造設備等の状況から貸家の用に供されることが確実であっても現に借家権の目的となっていませんし、またご質問の場合には、旧来のアパートの入居者に対して立退料が支払われており旧来の借家契約は全て解消されていると認められますので、この建築中の家屋の敷地の用に供されている宅地を貸家建付地として取り扱う余地はなく、自用地として評価します。

 ただし、旧来貸家の用に供されていた家屋を建て替える場合においても、次のような状況にあるときには、当該建築中の家屋の敷地は、引き続いて貸家の用に供されている宅地として貸家建付地としての評価ができるものと考えられます。

(1) 旧家屋の借家人が引き続いて新家屋に入居する契約となっていること
(2) 旧家屋の借家人に対して立退料等の支払がないこと
(3) 家屋の建替期間中は、貸主の責任において一時的な仮住居を保証していること

 

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