目次 II-3-Q3


Q3 同族株主のいる会社における原則的評価方式と
特例的評価方式の適用区分

Question
評価対象である取引相場のない株式について、原則的評価方式と特例的評価方式の適用区分を判定する場合において、当該評価会社が同族株主のいる会社であるときの具体的な判定方法について説明してください。



Answer

 同族株主のいる会社については、(1)同族株主以外の株主の取得した株式、又は(2)同族株主の取得した株式のうち一定要件を充足する株式 については、特例的評価方式(配当還元評価方式)が適用されることになります。

【解 説】

 同族株主((注1)を参照)のいる会社の株主が取得した株式については、下記に掲げる(1)又は(2)のいずれかに該当する場合には特例的評価方式(配当還元評価方式)が適用され、このいずれにも該当しない場合には、原則的評価方式が適用されることになります。

(1)  同族株主のいる会社の株主のうち、同族株主以外の株主の取得した株式
(2)  中心的な同族株主((注2)を参照)のいる会社の株主のうち、中心的な同族株主以外の同族株主で、その者の取得後の株式数がその会社の発行済株式数の5%未満であり、かつ、課税時期において評価会社の役員(社長、理事長並びに法人税法施行令第71条第1項第1号及び第3号に掲げる者をいいます。以下Q3からQ5において同じ。(注3)を参照)でない者及び課税時期の翌日から法定申告期限までの間に役員とならない者の取得した株式

 上記の取扱いを図で示しますと次のとおりです。

株 主 の 態 様 評価方式

 

 

 
持株割合が5%以上の株主 原則的評価方式
持株割合が5%
未満の株主
中心的な同族株主がいない場合
中心的な同族
株主がいる場合
中心的な同族株主
役員である株主又は役員となる株主
(2)その他の株主 配当還元評価方式
(1)同 族 株 主 以 外 の 株 主
(注1)  同族株主
 課税時期における評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条の規定する特殊の関係のある個人又は法人をいいます。以下同じ。)の有する株式の合計数がその会社の発行済株式数の30%以上である場合におけるその株主及びその同族関係者をいいます。
 なお、この場合において、その評価会社の株主のうち、株主の1人及びその同族関係者の有する株式の合計数が最も多いグループの有する株式の合計数が、その会社の発行済株式数の50%以上である会社にあっては、50%以上のその株主及びその同族関係者をいいます。
(注2)  中心的な同族株主
 課税時期において同族株主の1人並びにその株主の配偶者、直系血族、兄弟姉妹及び1親等の姻族(これらの者の同族関係者である会社のうち、これらの者が有する株式の合計数がその会社の発行済株式数の25%以上である会社を含みます。)の有する株式の合計数がその会社の発行済株式数の25%以上である場合におけるその株主をいうものとします。
 ある株主Aが中心的な同族株主に該当するか否かを判定する場合における当該判定の基礎となる同族株主の範囲については下の参考資料のとおりです。
(注3)  役員の範囲
(a)  『役員』とは、社長、理事長、副社長、代表取締役、専務取締役、専務理事、常務取締役、常務理事その他これらの者に準ずる役員並びに監査役及び監事をいいます。
(b) (a)より、『役員』は一般の取締役(いわゆる『平取ヒラトリ』)は原則として含まれないこととなります。((注)監査役は、常に本項目で定義する『役員』に該当することになりますので留意が必要となります。)


【参考資料】

― 中心的な同族株主判断の基礎となる同族株主の範囲(部分) ―
     ―株主Aについて判定する場合―



 1. 肩書数字は親等を、うちアラビア数字は血族、漢数字は婚姻を、(偶)は配偶者を示しています。
 2. 親族の範囲…親族とは(a)6親等の血族、(b)配偶者、(c)3親等内の婚族をいいます。
 3. 養親族関係…養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から血族間におけると同一の親族関係が生じます。

 

目次 次ページ