目次 II-3-Q1


3 取引相場のない株式の評価方法―評価体系、原則的評価と特例的評価

◆ 本項目のポイント ◆
(1) 取引相場のない株式の評価体系について、次の留意点別に分類できることを確認してください。
(a)  『一般の評価会社』の株式と『特定の評価会社』の株式に分類され、更に、前者は会社の規模別に3区分に細分され、後者は会社の経営状況や特定の資産の保有状況に応じて6区分に細分されること
(b) (a)に掲げる『一般の評価会社』の株式の3区分全部と『特定の評価会社』の株式(6区分)のうち4区分については、原則的評価方式(会社経営支配目的で所有する株主向けの評価方式)と特例的評価方式(配当金目的で所有する株主向けの評価方式)とに区分されること
(2)  上記(1)(b)に掲げる原則的評価方式と特例的評価方式の適用区分及び具体的な判定方法について、次に掲げる項目別に確認してください。
(a) 同族株主のいる会社の場合
(b) 同族株主のいない会社の場合



Q1 取引相場のない株式の評価体系の概要

Question
取引相場のない株式の評価体系について、その概要を説明してください。



Answer

 取引相場のない株式については、文字どおり、通常の取引相場(市場価格)がないことから、その取引相場のない株式の所有者(相続等による株式異動後の所有者)の立場においてその者の株式の所有目的、会社の規模区分及び会社の経営状況や特定の資産の保有状況を総合的に勘案して、最も適切と考えられる評価方法が採用される評価体系となっています。

【解 説】

 取引相場のない株式の評価体系(概要)を図示すると下記のとおりになります。

評  価  区  分 評  価  方  法
一般(下記以外)
の評価会社の
株式






大 会 社 原則的評価方式 類似業種比準価額方式 (注1)
特例的評価方式 配当還元評価方式
中 会 社 原則的評価方式 類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式 (注1)
特例的評価方式 配当還元評価方式
小 会 社 原則的評価方式 純資産価額方式 (注2)
特例的評価方式 配当還元評価方式
特定の評価会社
の株式









比準要素数1
の会社
原則的評価方式 純資産価額方式 (注3)
特例的評価方式 配当還元評価方式
株式保有
特定会社
原則的評価方式 純資産価額方式 (注4)
特例的評価方式 配当還元評価方式
土地保有
特定会社
原則的評価方式 純資産価額方式
特例的評価方式 配当還元評価方式
開業後3年未
満の会社等
原則的評価方式 純資産価額方式
特例的評価方式 配当還元評価方式
開業前又は休
業中の会社
純資産価額方式
(配当還元評価方式の適用はなし) (注5)
清算中の会社 清算分配見込額を基に複利現価計算により求めた価額;(配当還元評価方式の適用はなし) (注5)
(注1) 選択により、純資産価額方式により評価することができます。
(注2) 選択により、類似業種比準価額方式と純資産価額方式との併用方式により評価することができます。
(注3) 選択により、Lの割合を0.25とする類似業種比準価額方式と純資産価額方式との併用方式により評価することができます。
(注4) 選択により、『S+S』方式により評価することができます。
(注5) 原則的評価方式のみにより評価するものとされています。

 

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