目次 II-2-Q2


Q2 不動産(宅地)の評価及び計算に関する確認方法

Question
Q1と同様に、相続財産である不動産(宅地)の評価及び計算に関してどのような点に留意する必要があるのか。また、その確認方法についても説明してください。



Answer

 現況の地目が宅地であるにもかかわらず、登記簿に記載の地目により評価計算していないか等の確認が必要となりますが、詳細については【解 説】のチェックリストを参照してください。

【解 説】

不動産(宅地)の評価計算に関する確認事項一覧表 確認
現況の地目が宅地であるにもかかわらず、登記簿に記載の地目(山林、原野等)により評価計算していないか。  
建物の敷地(宅地)であるのに、宅地以外の地目によって評価計算をしていないか。  
実測取引で購入した不動産(宅地)について、公簿面積で評価していないか。  
相続等により取得した土地(宅地)を相続後に、物納や売却等のために実測しているにもかかわらず、公簿面積で評価計算を行っているものはないか。  
評価対象地である宅地上に建物が存在する場合、下記の例のように建物の床面積に比較して宅地の敷地面積の方が小さくなっているというような不合理な評価計算となっているものはないか。
 (例) (a) 評価対象地(宅地)の地積 ……200平方メートル
(b) (a)の宅地上の建物の1階の床面積 ……300平方メートル
上記の事例の場合には、次に掲げるような原因が考えられるがこれに対して適正な対応処理を行ったか。
 (イ)  評価対象地(宅地)の地積が公簿等によるもので縄縮みしており、実際の地積は、300平方メートル(建物の1階の床面積)以上ある場合
 (ロ)  上記(b)の建物が、被相続人所有の上記(a)の宅地以外に他者の所有地にも股がって建っている場合(被相続人が他者の所有者に借地権を設定している場合)
 
路線価方式により評価する土地(宅地)について、次のような評価上の留意点について適正な処理がなされているか。
 (a)  路線価の見誤りはないか。
 (b)  相続開始の年分の路線価が使用されているか。
 (c)  評価対象地の形状がく形地(正方形又は長方形)の場合、『間口距離×奥行距離』は、申告面積とほぼ一致するか。
 (d)  評価対象地の地積は、公簿面積ではなく、実際の面積によって評価計算をしているか。
 (e)  奥行価格補正率の計算は適正か。(奥行価格補正率の計算の基礎となる奥行距離は、原則として、(イ)評価対象地の地積÷間口距離、(ロ)評価対象地に係る想定整形地の奥行距離のいずれか短い方とされているがその計算は適正か。)
 (f)  二方路線影響加算率及び側方路線影響加算率の計算は適正か。(地区区分、角地又は準角地の選択等)
 (g)  評価対象地が不整形地である場合、不整形地補正率(評価対象地に係る想定整形地を作図して算定されたかげ地割合を基礎に計算する方法)の計算は適正か。
 
倍率方式により評価する土地(宅地)について、次のような評価上の留意点について適正な処理がなされているか。
 (a)  計算の基礎とされる固定資産税評価額は、課税時期に対応する年分の固定資産税評価額となっているか。(固定資産税課税標準額を誤って使用していないか。)
 (b)  適用倍率は、課税時期の属する年分の倍率によっているか。
 (c)  適用倍率は適正に選択されているか。(特に、同一地域に複数の倍率が存在する場合〔(例)県道の北側1.1倍、同南側1.2倍〕、その選択は適正か。)
 (d)  使用した倍率の地目は適正か。
 (e)  評価対象地が縄延べ又は縄縮みしている場合、当該事実を考慮して固定資産税評価額を改訂計算しているか。
 (f)  評価対象地が不整形地等であっても、次に掲げる各種補正率は適用しないで評価計算することになっている(これらの要因は、固定資産税評価額の算定時に考慮済み)が、その取扱いは適正か。
 
農地等を転用して建築中の建物等がある場合に、当該建築中の建物の敷地を宅地以外の地目((例)田又は畑)により評価していないか。  
路線価方式又は倍率方式により評価する土地(宅地)について、次のような評価形態上の留意点について適正な処理がなされているか。
 (a)  相続人の居住用財産(土地及び家屋)〔被相続人の所有財産を使用貸借により貸付け〕について、貸家又は貸地等として評価計算していないか。
 (b)  評価対象地に係る評価形態の区分(自用地評価、貸家建付地評価、貸宅地評価等)は適正か。
 (c)  1区画の土地の中に、自用地部分と貸家建付地部分等がある場合には、各々の建物の床面積等から判断して、貸家建付地部分の地積を広く区分計算している事実はないか。
 (d)  構築物の敷地であるにもかかわらず、借地権割合を控除していないか。
 (e)  青空駐車場(月極めでアスファルト舗装程度)であるにもかかわらず、借地権割合を控除していないか。
 (f)  貸宅地に該当する場合に控除すべき借地権割合は適正に計算されているか。(特に、主宰同族法人への貸地である場合には留意が必要)
 
10 私道の評価区分(特定の者の通行の用に供用(30%評価)、不特定の者の通行の用に供用(0評価))は適正か。  

 

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