目次 II-1


1 相続税と贈与税の相違点

(1) 税率の累進の度合い

 贈与税は相続税に比べ課税最低限が低く、相続税よりも早く最高税率に達してしまいます。








課税遺産総額に各相続人の法定相続分を乗じた額(A) 税 率 控除額
800万円 以下の場合
800万円 を超え、  1,600万円 以下の場合
 1,600万円 3,000万円
3,000万円 5,000万円
 5,000万円  1億円
 1億円  2億円
 2億円  4億円
 4億円 20億円
20億円を超える場合
10%
15
20
25
30
40
50
60
70
万円
40 万円
120 万円
270 万円
520 万円
1,520 万円
3,520 万円
7,520 万円
27,520 万円
 






課 税 価 格 (A) 税 率 控除額
150万円 以下の場合
150万円 を超え、 200万円 以下の場合
200万円 250万円
250万円 350万円
350万円 450万円
450万円 600万円
600万円 800万円
800万円 1,000万円
1,000万円 1,500万円
1,500万円 2,500万円
2,500万円 4,000万円
 4,000万円 1億円
1億円を超える場合
10%
15
20
25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
万円
  7.5 万円
 17.5 万円
   30 万円
   47.5 万円
   70 万円
  100 万円
  140 万円
  190 万円
  265 万円
  390 万円
  590 万円
1,090 万円
(A)の金額(1,000円未満の端数切捨て)×税率−控除額=税額


(2) 基礎控除額

 財産の価額から必ず控除される基礎控除の額も贈与税と相続税では大きな差があります。

贈与税…  110万円
相続税…5,000万円(定額控除)
+1,000万円×法定相続人の数(比例控除)


(3) 課税される時期

 相続税は被相続人の死亡の時をとらえてその財産を金銭に換算し、その価額(基礎控除後)を課税の対象とします。申告は相続が開始したことを知った日の翌日から10か月以内に、所轄の税務署長に申告書を提出して行います。

 贈与税は1月1日から12月31日までの間に受けた贈与財産の価額から基礎控除の110万円を控除した価額(居住用財産の贈与に係る配偶者控除の適用を受ける場合は、その配偶者控除額も控除した価額)が課税対象になります。申告は贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に所轄の税務署長に申告書を提出して行います。


(4) 贈与は時期の選択が可能

 相続税は相続の発生、つまり死亡を原因として課税されるため、課税される時期を選択することはできません。

 しかし、贈与税は課税される時期を自分で選択することが可能ですから、将来値上がりしそうな財産などを計画的に移転することができます。

 

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