目次 ケース1


 第1章 初回面談・契約時に気をつけること

ケース1  相続税の初回面談で税理士が気をつけること

Question

 相続税に関する相談者との初回面談で、気をつけるべきポイントを教えてください。


Answer

 相続に関連する相談の場合、相談者は具体的な“悩み”を持って来られることが大半です。インターネットや一般向けの書籍が流通している昨今、具体的な税務判断の質問等も想定されます。そのため、できれば面談の前に電話等で相談内容をヒアリングしておき、事前に該当分野について予習しておくというのも1つの方法です。

 初回の面談でよく質問されることや、最低限伝えておかなければいけないことについて、下記にて解説いたします。


[解 説]

1 初回の面談でよく質問されること

 相続税の初回面談では、基本的な事項から専門性の高い事項まで、質問の幅が広くあります。その中でも特に質問の多い事項について、基本と応用に分けて紹介します。

(1) 基本
 1) 基礎控除や相続税の計算方法に関すること
 2) 相続税の申告期限等の相続手続スケジュールについて
 3) 金融機関や不動産の名義変更手続について

(2) 応用
 1) 小規模宅地等の特例の適用可否について
 2) 名義預金・生前贈与についての取扱い
 3) 葬儀費用の内容で控除対象になるかどうか
 4) 税務調査について

 初回の面談にアドバイス漏れがあると、後々問題となることがありますので注意が必要です。また、関係がありそうな場合には、相続放棄(相続開始から3か月以内)についてもアドバイスをする必要があります。


2 相続人の青色申告の提出期限について

 被相続人が事業を行っている場合、相続人が事業を引き継ぎ、青色申告を行うには、相続人が新たに青色申告承認届を提出する必要があります。相続の開始時期によっては、その提出期限と準確定申告の提出期限(相続開始から4か月以内)が異なる場合があるので注意が必要です。


3 申告スケジュールと見積り

 初回の面談時に税理士事務所側から伝える事項として、相続税申告のスケジュールと税理士報酬の見積りがあります。

 見積りは後日提出するという方法もありますが、やはり当日その場で明確な見積りを出し、できればその日のうちに契約まで行うのが望ましいでしょう。


Check!
初回面談は、受注できるかどうかが決まる重要な場。周到な準備が望まれる。
税理士報酬を初回の面談時に提示することで、信頼感がアップする。
可能であれば、相続税額計算までしておきたい。

 

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