| III. ソフトウェア会計 |
| 1.企業会計と税務の相違―取得価額 |
企業会計上と税務上では、ソフトウェアを資産計上する場合に無形固定資産として計上すべき点では同じです。しかし、企業会計上は、ソフトウェアの制作に要する費用のうち、研究開発活動に関する部分は原価性がないと考えられることから期間費用として処理するため、無形固定資産の計上額を限定的に捉えるのに対して、税務上は減価償却資産の取得価額に関する規定に基づき無形固定資産の計上額の範囲を広く捉えており、取得価額算定の取扱いに差異があります。 企業会計上の取扱いと税務上の取扱いがこのように異なるのは、それぞれの制度の目的が異なることに起因しています。企業会計は適正な期間損益及び財政状態の計算を目的としており、固定資産の計上は資産性のあるものに限定しています。資産性とは、経済的な実態に着目して、将来の収益獲得あるいは費用削減が確実視されることをいい、それ以外は期間費用として処理します。ソフトウェアの開発費用はこれらの効果が確実でないと考えられることから、資産計上せずに費用処理すべきこととされているのです。 一方、税務は課税の公平性・税収の確保を目的としており、固定資産の計上は客観的事実に基づきなされる必要があります。したがって、将来の収益獲得あるいは費用削減の効果がないことが明らかな場合を除き、支出あるいは支払債務の確定といった客観的事実に基づき固定資産に計上することとされているのです。 以上のような両者の立場の違いは取得価額の捉え方と減価償却方法の違いとして現れていますが、減価償却方法についてはIII―2で述べることとし、ここでは取得価額について述べることとします。 (1) 企業会計上の取扱い 企業会計上は以下の場合に無形固定資産に計上することが認められます。 |
| (1) | 市場販売目的のソフトウェアを自社制作した場合 製品マスターの完成後、機能の改良あるいは強化のために要した費用を無形固定資産として計上します。ただし、著しい改良の場合は製品マスターが完成に至っていないと考えられるため、無形固定資産の計上は認められません。 |
| (2) | 自社利用ソフトウェアを自社制作した場合 将来における収益獲得あるいは費用削減が確実と判断できることを条件として、その制作に要した費用を無形固定資産に計上します。ここで、“将来における収益獲得あるいは費用削減が確実と判断できる”とは、客観的数値等により当該ソフトウェアの導入前と導入後を対比し、その効果が確認できる状態をいいます。なお、資産計上の開始時点は、将来における収益獲得あるいは費用削減が確実と判断できる時点です。 |
| (3) | 自社利用ソフトウェアを購入した場合 上記(2)と同様に、将来における収益獲得あるいは費用削減が確実と判断できることを条件として、取得に要した費用(購入代価と付随費用の合計額)を無形固定資産に計上します。 なお、ソフトウェアの導入費用は、購入したソフトウェアの大幅な改良に要する費用以外は期間費用として処理します。 |
| (2) 税務上の取扱い 以上のような企業会計上の取扱いに対して、税務上の取得価額は減価償却資産の取得価額の規定に基づいて算定します。
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