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2.適格退職年金のみの場合の税務申告 |
データに示されている数値をもとに期中に正しく会計処理が行われていれば、次のようになされているはずです。通常、税務上の仕訳はあまり意識しませんが、ここでは税務との違いが把握できるよう税務上の取扱いと税務上の訂正仕訳も併せて記載しておきます。
貴社のように適格退職年金制度のみの会社の場合、従来は掛金を拠出した時点で費用を認識していましたので申告調整を行う必要がありませんでしたが、新しい退職給付会計のもとでは、退職一時金部分のみでなく企業年金部分からも退職給付引当金を認識することになるため、申告調整が必要となります。 退職給付債務等の増減の内容と申告限度額との関係が把握できるように、ワークシートを作成してみましょう。ワークシートを作成することにより経営管理目的のほか、容易に申告書の作成が行えるメリットがあります。 ×1年度のワークシートを作成してみましょう。 |
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×2年度のワークシートを作成すると、次のとおりです。 ×2年度
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上記からもわかるように、適格退職年金・厚生年金基金の掛金は損金経理を要件としていないため、今期の掛金拠出額を別表4で減算し、退職給付費用を全額別表4で加算するだけです。このように、申告調整はいたって簡単に行えると思います。次年度以降も同様です。 これをもとに、法人税申告書の別表4と別表5(1)の申告調整事項を抜粋してみましょう。 別表4
別表5(1) ×1年度
×2年度
ちなみに、貴社の退職給付制度が連合設立型の厚生年金基金制度であっても、別表の記載の方法は変わりません。ただし、厚生年金基金の掛金は法基通9-3-2で計算対象月の末日に損金算入することとされています。 |