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3.退職一時金と厚生年金基金の場合 |
まず退職給付会計の対象となるのは、次表のとおりです。 退職給付会計の対象となる企業年金制度
通常では連合設立型の厚生年金基金制度が(2)に該当し、総合設立型の厚生年金基金制度は自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができず、(2)に該当しない場合が多いと判断されます。また、中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度は、追加的な拠出負担が生じないという制度の特徴から退職給付会計の対象とはならないものと判断されます。ただし、例外的な場合も考えられるため退職給付会計の適用に当たっては会計監査人と十分な検討が必要です。 さて、貴社の厚生年金基金制度が前記(2)に該当しない場合と該当する場合に分けて考えてみましょう。 前者の場合には先にも述べたように、退職給付会計が適用されませんので貴社の会計処理は従来どおり掛金の支出時に (借)年金掛金××/(貸)現金×× と処理しているはずです。したがって、厚生年金基金に係る申告調整は必要ありません。 次に連合型の厚生年金基金制度など後者の場合ですが、退職一時金制度を併用している会社は、それぞれ異なる退職給付制度ごとに退職給付債務を計算します。申告書作成のためにはそれぞれの制度ごとに退職給付債務等の増減の内容が把握できるワークシートを作成し、これをもとに申告書への転記を行えばよいのです。税務上は制度別の区分計算書を確定申告書に添付すれば、企業年金への拠出額が退職一時金制度に係る退職給与引当金の目的外取崩しとはみなされないことになるため、ワークシートを区分して作成しておくことが不可欠です。 具体的にはI−1とI−2を併せたものが、貴社の作成する申告書となります。 |