目次 Q11


Q11 資産保全策の具体例を教えてください。

《ANSWER》

 資産の保全策としてまず思い浮かぶのが、担保、または保証契約というものであろう。

 担保とは、主に金銭債務について、当初の約定どおりに履行がなされないときに、その履行に代えて、債権者が担保として提供を受けたものについて一方的に換価し、債務の弁済に充当する権利もしくはその目的物をいう。担保の具体例を以下にあげる。

1.質 権

 動産(不動産以外の有形財産)において多く用いられる。少額の借金をする場合に、債務者の動産を債権者に交付し、もしも債務者が約束どおりの履行をしない場合には、その動産を債権者が売却し、もしくはそれを債権者固有の財産とすることにより債権の満足を得ることのできる権利である。

 質権は、不動産にも設定することができる。後述する抵当権とは異なり、不動産質権の場合には、債務者は原則として債務が完済されるまで、目的物の使用をすることができなくなる。

 質権の特色として、債権を目的とすることができる点にある(債権質)。

2.抵当権

 一般的には不動産を目的として設定する。その土地の使用・収益は債務者(所有者)が継続して行い、債権者は債務者が約束どおりの履行をしない場合にその不動産を換価し、その金銭より優先して弁済を受けるものである。上記の質権とは異なり、債務者は不動産の使用収益を継続できる点が特色である。

3.根抵当権

 抵当権の一種だが、特定の債権を担保するものではなく、限度額を定め、一定の範囲にある複数の債権を担保することができるのが特色である。反復して同種の取引をする金融機関と顧客との間などで多く用いる。

 債務について保証人をつけるというのも担保の一種といえる。これは、ものを目的とした物的担保に対して人的担保といわれる。債務者が約定どおりの弁済をしない場合に、債権者は保証人に対して債務者に対するのと同じ内容の履行を求めることができる。

 なお、世の中の保証のほとんどは連帯保証である。債権者は、主たる債務者に弁済の資力があっても、すぐに連帯保証人に対して請求、執行することができ、極めて強い担保ということができよう。

 

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