目次 Q9


Q9 与信管理の作業はなぜ必要なのですか。

《ANSWER》

 一般的に銀行における不良債権ばかりが取り沙汰されるが、一般企業においても不良債権は発生する。取引先が倒産すれば、たちまち売掛金が滞留し不良債権となってしまうし、主要な取引先である場合は、債権の資金化が当然遅れ、今度は自社が倒産する可能性が出てくる。

 こうした貸倒れによる損害は100%回避することができないとしても、対処可能な限りのことを事前に行い、できることなら取引先が倒産する前に何らかの保全策をとっておきたいものである。

 一般的に与信管理は、会社の作成する決算書を用いて行うことが多い。しかし、決算書が会社の経営実態を正確に表現していることは少ない。商法は資本金5億円以上、負債総額200億円以上の会社については公認会計士の監査を義務付けているが、商法が会計監査を義務付けている会社は前述の通り一定規模以上の会社のみであり、社会に存在する会社のほんの一部がこの会計監査を受けているにすぎない。

 会計監査を受ているような決算書が信頼できる一部の会社とのみ取引を行い業務を遂行できる事業体は極めて少ないはずであろう。『貸倒れの会計・税務とリスク対策 Q&A』(清文社刊)では決算書を用いた与信管理のほか、それを用いない与信管理の方法についても紹介している。

 また、与信管理については、一度実施すればそれでよいというものではない。取引開始時は当然として、取引を継続して行っているとき、また何らかの理由で取引を終了したときにも与信管理は必要となってくる。それぞれの各段階において必要となってくる与信管理の技法は少々異なってくる。これも、『貸倒れの会計・税務とリスク対策 Q&A』(清文社刊)で解説している。

 

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