目次 Q8


Q8 アメリカで子会社の有する債権が貸倒れました。
 そのときの貸倒処理について教えてください。

《ANSWER》

 アメリカ税法では貸倒引当金は存在しない。すべて直接償却を行う方式に変更になった。これは法人税率を引き下げるにあたってとられた処置で、公正、簡素な税制を目指した結果であるとされている。税法上は貸倒れとして債権を償却できる事由があり、債権回収の努力をしたにもかかわらず、債権が回収できなかったときは回収不能であるとして、直接償却処理が行われる。貸倒事由としては、以下のような項目がある。

(1)債務者が行方不明
(2)債権回収費用が債権額を上回るケース
(3)残余財産の分配が終ったケース
(4)債権の時効が成立したケース
(5)州法で本人死亡により債務が消滅される規程があるケース

 なお、以上の事由は債権を全額償却することが前提となっている。つまり、全額償却できないときはまだ貸倒処理できないという意味である。つまり、日本の税法のように50%引当てという制度はないと考えてよい。なお、債権の一部償却が認められる例としては、以下の事由があれば一部償却が認められる。

(1)債権が営業債権である
(2)債権の一部しか回収できないことを証明できる
(3)債権の一部しか回収できないことが明らかになってから償却している

 

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