資金繰り入門
 資金繰り表による資金管理 前へメニューへ次へ

資金繰り表による資金管理

《3種類の資金繰り表を活用しよう 〜1年・3ヶ月・1ヶ月〜》

「会社の資金繰りはどうなっていますか」
―黒字倒産にならないために―

 昔から、〔勘定あって、銭足らず〕という言葉があります。売上も増加、利益もそこそこにあげているのに資金が足りない。その都度、資金の工面をしなければならない。まだ会社の現預金に余裕のある時は問題ありませんが、なくなると借入金に依存せざるを得なくなります。これが高ずると、返済不能の状態となり倒産ということになります。すなわち、黒字倒産です。企業の経営診断を通じてよくこんな事例にぶつかります。

 これは、発生主義的な損益計算と現金収支が一致しないことから起こる現象です。それは、売掛や買掛、手形などの信用取引があるからです。特に、季節変動の大きい会社、売上金の回収期間と仕入や経費などの支払期間が違う会社、設備投資や借入金限度額を決めなければならない会社などは、この資金繰りの管理が重要になります。

 資金繰り表は、日毎・週・月・3ヶ月・半年・1年といろいろあります。会社の規模、資金状況を考慮して、種々の資金繰り表を作成すべきですが、実務的には、1年間の長期資金繰り予定表、3ヶ月実績、3ヶ月予想資金繰り表、1ヶ月間の短期資金繰り表を最低限作成すべきでしょう。


▼1年間の長期資金繰り表の役割

 1年間の損益計画を基に作成される長期資金繰り表は、貴社の損益・利益計画で年間資金が廻るのかを判断するものとして作成されます。長期資金繰り表は、経営陣が損益・利益計画を達成すれば資金の過不足はどうかを判断し、取引金融機関に年間融資予定を依頼したり、返済計画を報告したりするものとして活用されます。

「1年資金繰り表」
1年資金繰り表


▼3ヶ月予想・実績資金繰り表の役割

 【予想・実績資金繰り表】は、実際に金融機関に融資申込みを行った際に絶対必要な資金繰り表です。この3ヶ月実績・予想資金繰り表は、過去3ヶ月の資金状況を説明し、今後3ヶ月以内の資金の不足を算出し、必要資金を金融機関に借入を申し込むために作成するものです。また、経営陣に現状の資金状況と今後3ヶ月間の予想資金状況を説明し、損益・利益・回収・支払・設備計画等の意思決定に参考としてもらうために作成するものです。

「3ヶ月資金繰り表」
3ヶ月資金繰り表


▼1ヶ月資金繰り表の役割

 単月資金繰り表は、実際の入出金の動きを予想し、固定性預金の保全・引出等に活用したり、若干の月ズレに対応させるものとして活用されます。多くは簡単な現預金出納帳のような形式で作成されています。

「1ヶ月資金繰り表」
1ヶ月資金繰り表


※経営陣は、1年間の長期資金繰り表でざっくりと貴社の資金状況を捉まえられ、財務体質の改善を目指され、3ヶ月実績・予想で当面の資金状況を厳密につかみ、3ヶ月以内の借入計画を作成・交渉される必要があります。単月資金繰り表では、月末等の資金流出の多い日を入金・出金管理することによって緊急の対応を考えられておく必要があります。


 資金繰り表による資金管理 前へメニューへ次へ