2.《タックスヘイブン対策税制》
外国の子会社に対しても日本の法人税がかかる
(12/10/01)
●租税負担割合20%以下の外国子会社に適用される
タックスヘイブン対策税制は、
特定外国子会社等の所得に対して適用されます。特定外国子会社等とは、日本企業等が発行済株式の50%を超えて保有する外国法人のうち、その本店所在地国の租税負担割合が20%以下のものをいいます。この租税負担割合のことを一般に
トリガー税率といいます。
トリガー税率は、本店所在地国の法定税率ではなく、実際の租税負担割合に基づいて毎年判定することとされています。
特に、
法定税率が20%を超えている場合であっても、本店所在地国の法令で非課税とされる所得が多額である場合には、実際の租税負担割合が20%以下となってタックスヘイブン対策税制が適用される場合があるので注意が必要です。
特定外国子会社等の所得は、特定外国子会社等の発行済株式の10%以上を直接および間接に保有する日本企業等にその保有割合に応じて合算されて、日本の法人税及び地方税が課されます。
たとえば、日本企業が発行済株式の70%を保有する香港子会社の所得が100であると仮定した場合、香港子会社が特定外国子会社等に該当しなければ、その所得100に対して日本の税金はかかりません。
しかし、香港子会社が特定外国子会社等に該当した場合には、日本の親会社は、その所得100のうち保有割合に対応する70に対して約40%の税率で日本の税金28が課されることとなります。
トリガー税率は実際の租税負担割合に基づいて判定されますが、各国の法人税率はトリガー税率の計算に大きな影響を与えます。平成22年度税制改正において、トリガー税率が25%から20%に引き下げられ、法人税率だけを見た場合、中国(25%)、韓国(24.2%)、マレーシア(25%)、ベトナム(25%)等が制度の対象から外れることになり、これらの国への進出が以前よりも容易になりました。