レポート 〜成功する会計事務所のセオリー
バックナンバー

制約された環境が新たな知恵を生む
(15/02/02)

 例えば、経営資源である時間や資金、人材には実際には限りがあります。しかし、それらが有限であることを認識できていなければ、危機的状況になるまで気付くことができず、結果として多くの無駄が生まれます。

 逆に、最初から時間、資金、人材等が「有限である」「不足している」という認識があれば、人はその状況の中で「どうすれば仕事がスムーズにできるか」に知恵を絞るようになります。

 実際には限りあるものだとしても、それを「認識していない」、あるいは「十分にある」と認識してしまうと、人はその環境に甘え努力を怠ります。

 今回はそんな事例をご紹介しましょう。

 ある会計事務所で「2月中に確定申告業務を終わらせる」プロジェクトを立ち上げ、見事、2月中に完了したという話を聞きました。

 これまでは、毎年申告期日ギリギリになることが多かったそうですが、2月中という締切(=制約)を設けたことで、「実現するためにはいつから動き出さなくてはならないか」「今までのやり方で実現できるか」などを考えるようになり、様々な改善点が見つかった、とのことです。

 一方で、私たちの顧問先に目を向けてみると、その多くが中小企業であり、経営資源には限りがあります。経営者は、そんな状況の中で生き残るための知恵を常に搾り出そうとしています。

 ここに、私たち会計事務所は大いに学ぶところがあります。

 上の事務所の例のように、事務所として意図的に締切や制約を設けることで、事務所全員で知恵を絞るきっかけになるかもしれません。