レポート 〜成功する会計事務所のセオリー
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「先手」がもたらす効果
(13/10/30)

 ある事務所から、“先手を打つ”ことを常に心がけていると聞きました。

 そのお話がとても興味深い内容でしたのでご紹介します。

「消費税が上がったら、うちはどうなる?」と顧問先から言われる前に、「消費税が上がると、こうなりそうです」と伝える。

「そろそろ法人化を考えてるんだけど・・・」と言われる前に、法人化した場合のシミュレートをしておく。

「診療報酬改定された後、うちの収入はどう変わるの?」と言われる前に、「現時点で想定される減収(増収)はこれぐらいです」と伝えておく。

 以上を含めた様々なケースで、顧問先から聞かれそうなことについて先手を打つことを意識しているとのことです。中でも、特に印象深かったのが“顧問料の値下げ提案”の話です。

 その先生は「業績が悪く、このままでは(顧問料の支払も)厳しいと感じる顧問先はやはりあります。ただ、その場合も“相手から言われないようにする”ことを意識しています。相手から契約解除を言われた場合、まずひっくり返すのは難しいです。顧問料の値下げも同様です。しかし、(相手から言われる前に)こちらから顧問料の値下げを提案すると、契約解除の話にはなりにくいですし、こちらの要望も受け入れてくれやすいです。

 “顧問料が下がった”のと“顧問料を下げた”のでは、相手の印象も全く違いますから。」と仰っていました。まさに“先手必勝”です。

 勿論、先手の対応をするには、常に顧問先の変化を見ていく必要があります。全てのドクター(会計担当者)が定期検診(月次訪問)の中で、診断結果(試算表)から異常(課題・リスク)を察知できる、というのが理想ですが、そんな優秀な人材は限られています。

 「一社の試算表を複数の会計担当者が見る」「特定の項目について必ず報告する習慣をつける」「顧問先からの指摘やクレームを共有する」など、まずはできることから取り組んでみてはいかがでしょうか。