レポート 〜成功する会計事務所のセオリー
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業種特化と業務特化
(12/05/29)

 最近、セミナーに参加して“起業家支援”に特化した、会計事務所の先生の話を伺ってきました。

 その先生の会計事務所は、1年間に500件近い新規顧問先を開拓しているにも関わらず、平均顧問料が3万円程度である、と聞いて大きな驚きと刺激を受けました。

 全国を見渡してみても、この先生のように“特化”することで、新規拡大に成功しているケースは比較的多いように思います。

 今回は、そんな新規拡大の有力な手段の一つ【特化】について話してみたいと思います。

 【特化】と一口に言っても大きく2つに分けられる、と私は考えています。

 それは、【業種特化】と【業務特化】です。具体的にみていきましょう。

 まず、業種特化の事例としては、医業、美容院、飲食店(さらに絞り込んで、パン屋、フランチャイズの飲食店など)、建設業、生命保険会社・・・といったように、特定の業種に絞り込んで取り組み、だからこそ多くの経験と実績があり、企業の発展に貢献できる、ということをPRしている事務所が挙げられます。ただ、このタイプの特化は、大きな効果を見込める半面、特定の業界の動向に事務所経営が左右される部分が否めず、マーケット規模と顧客に合わせた収益モデルの見極めが必要になります。

 次に、業務特化の事例としては、冒頭で少し触れた、新規開業支援、節税対策、税務調査、経営計画、相続、資金繰り、売上アップコンサルティング、海外進出支援など、特定の業務の経験を多く積んでいることを強みとしている事務所が挙げられます。こちらは、業界動向による影響は比較的受けにくいものの、競合も多いため、特化していることの証拠や、お客様に安心してもらうための工夫が必要になります。

 以上のように、業種特化と業務特化の2つを比較してみると、それぞれ一長一短があるものの、どちらも非常に有効な手段です。更に、これら2つを組み合わせたり、先生自身のキャラクター(カウボーイ、元僧侶など)をPRしたりして、先生自身の経験を融合すれば、より独自性が高まって記憶に残り“思わず紹介したくなる税理士”になれると私は考えております。また、特化の良いところとして何かを突き詰めれば突き詰めるほど、安売りする必要もなくなる、ということもあります。

 是非、新規拡大をお考えの先生は、業種特化と業務特化の両面から、事務所経営を検討してみてはいかがでしょうか?