レポート 〜成功する会計事務所のセオリー
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クレーム対応の極意は、アダルトに
(12/02/29)

 今回は、私の以前の上司であった、クレーム対応の名人の話をしたいと思います。

 その上司は、どんなに部下がお客様を怒らせてしまっていたとしても、お客様の心を落ち着かせ、お客様との妥協点を見出し、部下に適切な指示を出すことができる人でした。

 ある日、私もお客様の逆鱗に触れることをしてしまい、自分の力ではどうすることもできず、上司に対応をお願いしたことがありました。

 自分の担当先でもあったので、対応をじっとそばで聞いていると、お世辞にも説明が上手とは言えず、お客様の滅茶苦茶な要望にも「なるほど。なるほど。」「他に、失礼な対応やご気分を害されたことはありませんでしたか?」と話を聞いており、どちらかというと、お客様にやり込められているのではないか? と感じました。

 「きっとこれではダメだろう。」と思いながら上司の対応を暫く聞いていると、会話が打ち解けてきた様子に変わり「では、このように対応させていただきます。お電話ありがとうございました。」と電話を切りました。

 特に、変わったことを言っていたわけでもなく、自分の説明と違う点も見当たらなかったので、不思議に思い「なぜ、あんなに怒っていたお客様が納得してくれたのか?」と質問してみると『お前の言うことは正しい。だから、お客様の気分を害している。』と言われました。

 私は、何を言われているのかわからず、ピンと来ない顔をしていると「お前の説明は正しい。今回の件の落ち度はお客様にあると私も感じた。しかし、お客様にも言い分や不安に感じていることがある。それらをしっかり吐き出して、理解もしてもらった。『一緒に自分の問題を解決してくれる味方だ』と感じてもらえなかったら、いくら正しいことを言っても聞いてもらえない。」と言われました。

 こう言われて自分の行動を振り返ってみると、お客様に対して否定的な気持ちを持っており、相手の言い分を十分に聞いていなかった自分に気が付きました。

 その当時、私はまだ20代前半でしたので「大人だなぁ〜。人付き合いは奥深いなぁ〜。」と感心し、同時に「クレーム対応はアダルトに。」と肝に銘じました。

 感情に任せてものを言ったり、正しいことだと思ってもすぐに主張せずに、十分に相手の言い分を聞くように心がけ、“落ち着いた大人の対応”をするように心がけるようになりました。

 このように、今の私がどこまで近づけているかは分かりませんが“アダルトな対応”と“しっかり聞き尽くす”ことを心がけるようになってからは、クレーム対応へのストレスはほとんどなくなりました。

 是非“お客様との信頼関係を築く”名人の教えをお役立てください。