会社を良くする「経営の教科書」
経営の教科書
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第16回 『守備力』はこうして強化すべし!(その5)


 今回は、前回お伝えしたB/Sの3類型のそれぞれの状態を整理し、その類型毎の一般的な対応について確認したい(3類型の詳細については、コラム第15回を参照)。

 I型の場合、自社のP/Lが慢性的な赤字体質に陥っている事が考えられるので、早急に収益構造を見直す必要がある。もし、黒字なのにI型になっているなら、キャッシュフローがマイナスになっているはずなので、回収や支払、返済等の計画を見直し、取引先や金融機関と相談する必要がある。それができない場合、厳しいけれど会社をソフトランディングさせる計画を立てなければならない…。

 II型の場合は、3〜5年の自己資本の推移を調べてみよう。「毎年増加している」なら概ね良好。「増減を繰り返している」又は「横ばい」、あるいは「毎年減少している」ならば、I型と同じ様に、収益構造及びキャッシュフローの状態を見直す必要がある。何らかの手を打たなければ、燃料が枯渇してしまう。それまでの期間を計算し、その間に何をすべきか考えよう。間に合わなければ船は沈む…。

 III型の場合、会社は当面安定航海を続けていける。確認しておきたいのは、不良資産を抱え込んでいないか? という点。この場合の不良資産とは金銭価値の無い資産では無く、現状あるいは未来の戦略に貢献していない預金や不動産、投資等の資産。急激な社会の変化に備え、蓄えを持つ事は重要だが、未来に向かってこちらから変化を仕掛ける戦略を打てているかも重要なチェックポイント。

 自社のB/Sの類型と、それに合わせた適切な手が打てているかを確認しよう。分からない事は、航海士である会計事務所に尋ねてみよう。