税務調査の法的知識
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第42回 なぜ税理士が同意書を提出する必要があるのか?
(15/08/19)

 「調査の終了の際の手続に関する同意書」という書面をご存知でしょうか?

http://inspireconsulting.co.jp/sharefile/inspire/20130628142952_54020.pdf

上記URLは書面(ひな形)をアップしたもので、税理士であれば日税連のサイトにログインしてからダウンロードすることが可能です

 この書面を知らない方は、ぜひ知っておいてください。書面の存在を知っている方でも、なぜ(何を根拠に)この書面を税理士が提出しなければならないのか知ってください。

 まず、法律規定から確認してみましょう。

国税通則法第74条の11第5項
実地の調査により質問検査等を行つた納税義務者について第74条の9第3項第2号に規定する税務代理人がある場合において、当該納税義務者の同意がある場合には、当該納税義務者への第1項から第3項までに規定する通知等に代えて、当該税務代理人への通知等を行うことができる。

 この条文にある「第1項から第3項」とは、申告是認の通知・更正の説明・修正申告の勧奨です。

 この条文では、税務調査終了時における説明・通知等を誰に対してすべきか定めたもので、「納税義務者の同意がある場合には」税理士に調査終了の処理に関して説明・通知できるとされています。

 裏を返せば、納税者の(明確な)同意がなければ代理権限を持っている税理士であっても、調査終了の際だけは納税者の代わりに説明・通知を受けることができないというわけです。

 この規定により、税理士が正式に納税者の同意を得たことを確認するために、この書面の提出が、税務調査において求められるということなのです。