第33回 通達課税は許されるのか?
(15/04/02)
税務調査・税務行政を考えるうえで、税法を遵守するのは当然ながら、その根本的には憲法に規定する大原則「租税法律主義」が存在します。 憲法第30条(納税の義務) 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う。 として、「納税の義務」とともに、「租税法律主義」の原則を規定しています。 また、さらには 憲法第84条(課税の要件) あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 として、課税要件は法定されていなければならないことを規定しています。 このように、憲法に定める租税法律主義により、課税要件は法定されなければならないという要請がある一方で、税務調査の現場では、通達(行政機関内部で、上級の機関が下級の機関に対しての指示・命令、または法令の細部にわたる解釈を示したもの)を根拠とした否認指摘が横行しています。 本来であれば、税務調査の結果、通達を根拠とした更正処分等は「違法(違憲)」なものになるはずなのですが、近年の税務訴訟をみても、「通達課税」であるとして課税庁の処分が違法(違憲)と判断された事案はありません。 これは税務訴訟において、課税庁が処分の根拠を法律(税法)の条文を大元にしながら、細かい点を通達の規定で補足するという姿勢であるためです。 この点から考えると、通達課税は憲法により許されない、と解釈できながらも、現実は通達により課税されてしまうわけです。 |