税務調査の法的知識
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第13回 留置きとは何か?
(14/06/3)

 国税通則法改正前から、税務調査の実務において、調査官に対して帳簿書類等(コピーなどの控えを含む)を貸し出すという「慣習」がありました。

 平成25年以降に施行された、税務調査の手続き等を定めた国税通則法において、この慣習が法定化されたわけです。

国税通則法第74条の7(提出物件の留置き)
国税庁等又は税関の当該職員は、国税の調査について必要があるときは、当該調査において提出された物件を留め置くことができる。

 つまり、税務調査において調査官は法律規定に則り、帳簿書類等を「留置く」ことができるようになったわけです。

 法律規定は上記のみですが、この法律には合わせて、通達が規定されることになりました。

国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)
2−1(「留置き」の意義等)

(1) 法第74条の7に規定する提出された物件の「留置き」とは、当該職員が提出を受けた物件について国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の庁舎において占有する状態をいう。

 ただし、提出される物件が、調査の過程で当該職員に提出するために納税義務者等が新たに作成した物件(提出するために新たに作成した写しを含む。)である場合は、当該物件の占有を継続することは法第74条の7に規定する「留置き」には当たらないことに留意する。

(注)  当該職員は、留め置いた物件について、善良な管理者の注意をもって管理しなければならないことに留意する。

(2) 当該職員は、令第30条の3第2項に基づき、留め置いた物件について、留め置く必要がなくなったときは、遅滞なく当該物件を返還しなければならず、また、提出した者から返還の求めがあったときは、特段の支障がない限り、速やかに返還しなければならないことに留意する。

 この通達からわかることは、

・留置きとは、調査官が帳簿書類等を税務署に持って帰る(預かる)こと
・調査官は留置いた物件に対して返還義務がある

ということなのです。