目次 PART5 5-3


 5.3 租税確定手続の実際

 納税者が自分の税金を自分で計算して税務署に申告し、納税するのが確定申告です。ほとんどの人は、「3月15日は確定申告の期限です」というキャンペーンを見聞きしていると思います。ただ、この場合の確定申告とは、所得税の確定申告のことです。実は、確定申告は、所得税だけのことではありません。法人税や消費税など、申告納税方式(5.2.1・5.2.2)*を採用するさまざまな税金に共通するものです。

 確定申告は、まさに自己責任ルールに基づく課税方法です。納税者は、税法に決められている税額を正しく申告するように求められます。納税者がまったく申告していない、あるいは正しく申告していないおそれがあると思われるケースを含め、必要な場合には、課税庁は、納税者などに対して税務調査(質問検査)を行う権限を持っています。

 税務調査の結果、申告が必要なのに申告をしていない(無申告)であることが判明したとします。この場合は、課税庁の判断で、税額を決定して納税者に払うように求めます。また、申告はしているものの、税法に基づいた正しい申告が行われていないと思われるとします。この場合には、課税庁の判断で、追加税額を通知(更正)して、納税者に払うように求めます。納税者が取引などについて帳簿などへの記載がまったくないか、あるいは極めて不十分なケースが考えられます。この場合には、課税庁は、同業者の取引などを参考にして推計で課税することがあります。納税者は、確定申告のあと、自分で申告内容に誤りがあると気付いた場合には、修正申告(増額修正)、更正の請求(減額の請求)ができます。

 近年、課税庁が税金を熱心に取ろうとするあまり、納税者の人権を侵害するような税務調査を行い問題となったケースも多々みられます。課税庁の納税者サービス・スタンダード(1.3.6)*の確立が求められています。


 

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